年末調整が終わったあとの源泉徴収票があれば、ふるさと納税の上限は4つの欄から自分で計算できます。使うのは「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」で、①所得税の課税所得を出す、②所得税率を決める、③住民税の所得割を出す、④上限=所得割×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円に当てはめる、の順に進めます。2026年分・年収500万円・独身・40歳未満の例では、上限は約57,000円になります。

気をつけたいのは時期です。2026年分として数えられるのは12月31日までの寄附ですが、会社が源泉徴収票を渡す期限は翌年1月31日です。年内に源泉徴収票が手元にないときは、12月の給与明細や年収の見込みを同じ手順に当てはめます。以下、欄の読み方から順に、途中の数字をすべて示しながら説明します。

使うのは源泉徴収票の4つの欄と、2つの内訳

出発点は源泉徴収票の上段に並ぶ4つの数字です。住民税の計算に直すために、下段の「社会保険料等の金額」と「基礎控除の額」も使います。各欄の意味は源泉徴収票の見方で説明しています。下の表の金額は、年収500万円・独身・40歳未満の会社員を、サイトの計算機の2026年分の条件で概算したものです(社会保険料は協会けんぽ東京の料率を年収に掛けた概算で、実際の源泉徴収票とは数千円ずれることがあります)。

源泉徴収票の欄上限の計算での使い道例
支払金額年収。計算機に入れるのはこの金額5,000,000円
給与所得控除後の金額所得。所得税と住民税の両方の出発点3,560,000円
所得控除の額の合計額所得税の控除の合計。住民税用に直して使う1,774,500円
源泉徴収税額所得税率が合っているかの確かめ91,100円
社会保険料等の金額(内訳)所得税・住民税で同じ額を引く734,500円
基礎控除の額(内訳)住民税では43万円に置き換える1,040,000円

2026年分は、合計所得489万円以下の人の所得税の基礎控除が104万円に上がりました(国税庁)。年収でいえばおおむね665万円以下の人がこれにあたり、2026年分の源泉徴収票の「基礎控除の額」は104万円になります。例の「所得控除の額の合計額」1,774,500円は、社会保険料734,500円と基礎控除104万円を足した額です。給与所得控除は年収500万円なら「収入×20%+44万円」の144万円で、給与所得控除後の金額は356万円です。

手順1・2 課税所得を出して、所得税率を決める

所得税の課税所得は「給与所得控除後の金額−所得控除の額の合計額」で、1,000円未満は切り捨てます。例では3,560,000円−1,774,500円=1,785,500円なので、課税所得は1,785,000円です。国税庁の速算表では、課税所得1,949,000円までの税率は5%、1,950,000円から3,299,000円までは10%、3,300,000円から6,949,000円までは20%なので、この例の所得税率は5%になります。

税率が合っているかは「源泉徴収税額」で確かめられます。1,785,000円×5%=89,250円に、復興特別所得税の分として1.021を掛けると91,124円。100円未満を切り捨てると91,100円で、源泉徴収票の金額と一致します。住宅ローン控除がある人は源泉徴収税額がこれより少なくなりますが、上限の計算に使う税率は、住宅ローン控除を引く前の課税所得で決まります。

総務省は、この計算に使う所得税率を、住民税の課税所得から「人的控除差調整額」を引いた金額で判定すると説明しています。地方税法314条の7では、この調整額に所得税の基礎控除のうち48万円を超える部分(2026年分は104万円−48万円=56万円)も加えることになっていて、独身で扶養がない人の調整額は、もとの5万円と合わせて61万円です。例では住民税の課税所得2,395,000円(手順3)から61万円を引くと1,785,000円となり、所得税の課税所得と同じです。ただし生命保険料控除のように、所得税と住民税の控除額の差がこの調整額に含まれない控除もあるため、課税所得が195万円や330万円の境目のすぐ下にある人は、税率が1段上で判定されることがあります。

手順3 住民税の所得割を出す(控除の額が所得税と違う)

住民税の所得割は、所得から住民税の所得控除を引いた課税所得に、10%(道府県民税4%・市町村民税6%)を掛けて求めます(総務省)。2026年の所得から計算する住民税(令和9年度分。2026年の寄附の控除は、総務省の説明どおり翌年の6月以降に納める住民税から差し引かれます)は、給与所得控除が所得税の2026年分と同じ表になり(中央区の改正の案内)、例の所得は356万円のままです。違うのは所得控除で、主なものは次のとおりです。

控除所得税(2026年分)住民税(令和9年度分)
基礎控除(合計所得489万円以下)104万円43万円
一般の扶養控除(16〜18歳・23〜69歳)38万円33万円
特定扶養控除(19〜22歳)63万円45万円
社会保険料控除・iDeCoの掛金払った全額払った全額(同じ)
生命保険料控除源泉徴収票の控除額計算方法が別で、合計の上限は7万円

例の住民税の所得控除は、社会保険料734,500円+基礎控除43万円=1,164,500円です。源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」1,774,500円から、基礎控除の差61万円(104万円−43万円)を引いても同じ額になります。住民税の課税所得は3,560,000円−1,164,500円=2,395,500円で、1,000円未満を切り捨てて2,395,000円。10%を掛けた239,500円から調整控除2,500円を引いた237,000円が所得割です。調整控除は、地方税法では独身で扶養などがない人の場合、課税所得が200万円以下なら5万円の5%、200万円を超えても5万円の5%が下限なので、どちらでも2,500円になります(道府県民税2%・市町村民税3%の合計)。

手順4 上限を計算する(年収500万円・独身の例)

最後に、所得割と所得税率を総務省の計算式に当てはめます。住民税から差し引かれる特例分には所得割の2割までという上限があり、特例分がちょうど2割になる寄附額が、自己負担2,000円で済む上限です。式にすると上限=所得割×20%÷(90%−所得税率×1.021)+2,000円で、例の数字を入れると次のようになります。

計算金額・率
所得割×20%(237,000円×20%)47,400円
90%−所得税率5%×1.02184.895%
47,400円÷84.895%55,833円
+自己負担2,000円=上限57,833円

約57,800円が上限の目安で、サイトのふるさと納税の上限額シミュレーションでは1,000円未満を切り捨てて57,000円と表示されます。年収500万円のふるさと納税上限の独身・扶養なしの目安と同じ値です。57,833円を寄附して確定申告をした場合、2,000円を引いた55,833円は、所得税から約2,850円(5.105%)、住民税の基本分から約5,580円(10%)、特例分から47,400円に分かれて差し引かれ、特例分がちょうど所得割の2割に収まります。ワンストップ特例を使う場合は所得税の分も翌年度の住民税から差し引かれますが、上限は同じです。

源泉徴収票の数字は1年分の確定した値なので、見込みで計算するより誤差は小さくなります。それでも、生命保険料控除などの扱いで実際の所得割が少しずれることがあるため、上限ぎりぎりではなく数千円の余裕を残しておくと、自己負担が2,000円を超えにくくなります。

源泉徴収票が12月31日に間に合わないときは

2026年分のふるさと納税は12月31日までの寄附が対象で、総務省は税の軽減を1月から12月までの年単位で扱うと説明しています。一方、会社が源泉徴収票を本人に渡す期限は翌年1月31日で、年末調整の精算は通常12月分の給与で行われます(国税庁)。源泉徴収票が年明けに渡される会社では、その数字を見てから2026年分の寄附を足すことはできません。

その場合は、12月の給与明細か、11月までの給与明細に12月分と冬の賞与の見込みを足した数字で同じ計算をします。支払金額にあたるのは、1年間に支払いが確定した給与と賞与の総額です。国税庁の案内では、非課税とされる部分の通勤手当は支払金額に含めないので、明細の総支給額から差し引いておきます。社会保険料は、明細の健康保険・厚生年金・雇用保険などの1年分の合計です。この2つがわかれば、給与所得控除と基礎控除は手順1〜3のとおり表から決まります。年末調整で戻る所得税の目安は年末調整の還付金計算で見積もれます。

よくある質問

Q. 前年(2025年分)の源泉徴収票で計算してもいい?
目安にはなりますが、2026年分とは所得税の基礎控除が違うため、税率の判定が変わることがあります。年収500万円・独身・40歳未満の例では、2025年分の基礎控除は68万円で課税所得は約214万円(税率10%)となり、2025年分の条件での上限は約61,000円です(サイトの計算機による概算)。2026年分は税率が5%に下がるため上限は約57,000円で、前年の源泉徴収票のまま計算すると4,000円ほど多く見積もることになります。

Q. iDeCoに入っている人は?
iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除として「所得控除の額の合計額」に入っていて、住民税でも同じ額が控除されます(練馬区)。そのぶん所得割が減るので、上限も下がります。年収500万円・独身・40歳未満で掛金が月2.3万円(年27.6万円)の場合、サイトの計算機の目安は約51,000円です。

Q. 共働きの夫婦は、どちらの源泉徴収票で計算する?
寄附をする本人の源泉徴収票で計算します。総務省は、寄附金控除を受けるには納税者本人がふるさと納税をする必要があり、名義も本人である必要があるとしています。夫婦それぞれが寄附するなら、それぞれの源泉徴収票で上限を出します。

この記事の計算は、給与収入のみの会社員を想定した概算です。実際の控除額は、ほかの所得や控除、お住まいの自治体の税率によって変わることがあります。正確な上限は、お住まいの市区町村の住民税の担当窓口にご確認ください。

出典: 総務省 ふるさと納税のしくみ 税金の控除について、総務省 ふるさと納税 よくある質問、総務省 個人住民税、総務省 制度改正について(2015年4月1日)、国税庁 No.1199 基礎控除、国税庁 No.1410 給与所得控除、国税庁 No.2260 所得税の税率、国税庁 No.1180 扶養控除、国税庁 No.1135 小規模企業共済等掛金控除、国税庁 No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等、国税庁 No.2675 年末調整の過不足額の精算、国税庁 令和8年分 法定調書の作成と提出の手引「支払金額」欄、国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げに関するQ&A、e-Gov法令検索 地方税法(第20条の4の2・第37条・第314条の6・第314条の7)、中央区 令和9年度から適用される個人住民税の主な改正、練馬区 人的控除(住民税)、練馬区 社会保険料控除、練馬区 小規模企業共済等掛金控除、練馬区 生命保険料控除