ボーナスから天引きされる所得税は、賞与の金額ではなく「前月に受け取った給与から社会保険料を引いた額」と「扶養親族等の数」で率が決まります。国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(令和8年分)では、率は0%から45.945%までの21段階です。扶養親族等が0人なら、前月の社会保険料控除後の給与が9万4,000円以上26万円未満で4.084%、26万円以上30万9,000円未満で6.126%と、前月の給与が上がるほど率も上がります。この率を、社会保険料を引いた後の賞与に掛けたものが所得税です。

たとえば40歳未満・協会けんぽ東京で賞与50万円の場合、前月の額面が30万円なら所得税は17,420円、41万円なら43,550円です。前月に残業代が1万円多かっただけで率が一段上がり、8,710円多く引かれることもあります。ただしこれは1年分の税額を前払いしている仮の金額で、年の税額は年末調整で計算し直され、多く引かれた分は精算されます。なお、住民税は賞与からは引かれません。

所得税の率は「前月の給与」と「扶養の数」で決まる

会社がボーナスの所得税を計算する手順は3つです。まず、賞与を支払う月の前月中に支払った給与(賞与は含めない)から、健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料を引きます。次に、その金額と扶養親族等の数を算出率の表の甲欄に当てはめて率を読み取ります。最後に、賞与から社会保険料を引いた金額にその率を掛けます。12月に冬のボーナスが出る人なら、基準になるのは11月中に支払われた給与です。

扶養親族等の数は、その年の最初の給与を受け取る前に会社へ出す「給与所得者の扶養控除等申告書」(年末調整の時期に翌年分を集める会社が多い書類)に書いた、源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計です。国税庁の税額表の使い方では、16歳未満の扶養親族は数に入れず、本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生にあたる場合や、同一生計配偶者・扶養親族が障害者(同居特別障害者を含む)にあたる場合は、1つにつき1人を足すとされています。率に2.042%のような端数があるのは、所得税(この例なら2%)に、所得税額の2.1%にあたる復興特別所得税を上乗せした率になっているためです。

前月の給与別・扶養の数別の率と所得税(令和8年分)

賞与50万円(40歳未満・協会けんぽ東京、令和8年度の料率)の場合を、ボーナスの手取り計算機と同じ計算で出しました。賞与から引かれる社会保険料は73,450円で、所得税はその残りの426,550円に率を掛けた額です。前月の額面は、その金額がそのまま標準報酬月額にあたるものとして社会保険料を引いています。

前月の額面前月の社会保険料控除後扶養0人扶養2人
20万円170,620円4.084%(17,420円)2.042%(8,710円)
30万円255,930円4.084%(17,420円)2.042%(8,710円)
36万円307,116円6.126%(26,130円)4.084%(17,420円)
41万円349,772円10.210%(43,550円)6.126%(26,130円)
50万円426,550円14.294%(60,971円)12.252%(52,260円)
62万円528,922円18.378%(78,391円)18.378%(78,391円)

扶養0人の区切りは、前月の社会保険料控除後の給与で8万2,000円・9万4,000円・26万円・30万9,000円・34万2,000円・37万2,000円…と続きます(表はどれも「以上・未満」)。扶養が増えると区切りの金額が上にずれるので、同じ前月の給与でも率が下がります。ただし前月の給与が高くなると差は縮み、表の62万円の例では扶養0人と2人で同じ率です。賞与の額ごとの手取りはボーナス50万円の手取りやボーナス100万円の手取りの早見ページでも確かめられます。

同じボーナスでも人によって所得税が違う理由

1つ目は前月の残業代や手当です。前月の額面が30万円の人に残業代が1万円加わって31万円になっても、健康保険と厚生年金の保険料は標準報酬月額で決まっているので変わらず、増えるのは雇用保険の50円だけです。それでも社会保険料控除後の給与は255,930円から265,880円になり、26万円の区切りを超えます。賞与50万円の所得税は4.084%の17,420円から6.126%の26,130円へ、8,710円増えます。標準報酬月額のしくみは標準報酬月額の記事で解説しています。

2つ目は扶養の数です。前月の額面30万円なら、扶養0人は17,420円、扶養2人(たとえば令和8年中の所得の見積額が95万円以下の配偶者と、16歳以上の子)は8,710円で、半分になります。3つ目は扶養控除等申告書の出し先です。申告書を出していない会社、たとえば副業先から出る賞与には表の乙欄を使い、前月の社会保険料控除後の給与が22万4,000円未満でも10.21%かかります。

前月の給与が無いとき・10倍を超える賞与は月額表で計算

算出率の表を使わない場合が決まっています。表の備考によると、前月中に給与の支払いが無いとき、前月の給与が社会保険料以下のとき、そして社会保険料を引いた後の賞与が前月の社会保険料控除後の給与の10倍を超えるときは、毎月の給与に使う「月額表」で計算します。育児休業や休職から復帰した直後や、入社して間もなく前月にその会社から給与が出ていないときなどが当てはまります。

前月の給与が無いときの手順は、社会保険料を引いた賞与を6で割り(賞与の計算期間が6か月を超えるなら12)、その金額を月額表に当てはめた税額を6倍(または12倍)します。10倍を超えるときは、6で割った額に前月の社会保険料控除後の給与を足して月額表の税額を出し、前月の給与の税額を引いてから6倍します。前月の給与が無い人で計算すると、賞与50万円(社会保険料控除後426,550円)は6で割ると71,091円で、令和8年分の月額表では扶養0人でも10万5,000円未満は0円なので、所得税は0円です。賞与100万円(同853,100円)なら142,183円が2,010円の行にあたり、6倍の12,060円です(サイトの計算機は月額表の代わりに国税庁が認める電算機計算の特例の式を使うため、12,180円と表示されます)。前月の額面30万円の人が同じ100万円を受け取る場合の34,840円より少なくなります。

多く引かれても、1年分の税額は年末調整で決まる

ボーナスの所得税は、1年分の税額を前もって納めておくための仮の金額です。年末調整では、1月から12月までの給与と賞与の合計から1年分の税額を計算し、毎月とボーナスで引いた合計との差を精算します。たとえば年間の給与と賞与がまったく同じ2人のうち、1人は11月に、もう1人は9月に残業代が1万円多く出たとします。12月の賞与50万円で引かれる所得税は11月に残業した人のほうが8,710円多くなりますが、1年分の税額は同じなので、その8,710円は年末調整で戻る額の差になって消えます。

国税庁によると、年末調整の対象は扶養控除等申告書を出している人で、給与が2,000万円を超える人は対象になりません。給与の年間収入が2,000万円を超える人や、2か所以上から給与を受けていて年末調整されなかった給与とほかの所得の合計が20万円を超える人などは、確定申告で1年分の税額を計算し直します。自分の年収でいくら戻りそうかは年末調整の還付金シミュレーションで、戻る時期は年末調整の還付金はいつ戻るかの記事で確かめられます。社会保険料も含めて賞与から何が引かれるかの全体像はボーナスの手取りが少ない理由の記事にまとめています。

ボーナスから引かれる社会保険料のほうの上限(健康保険は年度の累計573万円、厚生年金は1か月150万円)は、ボーナスの社会保険料の上限で解説しています。

よくある質問

Q. 冬のボーナスの所得税率が夏より高いのはなぜですか?
夏と冬で、ボーナスの前月の給与が違うためです。12月支給なら11月中に支払われた給与、7月支給なら6月中の給与が基準です。どちらかの月に残業代が多いと、社会保険料控除後の給与が表の区切りを超えて率が上がります。賞与の額が同じでも所得税は変わり、差は年末調整で精算されます。

Q. 副業先から出たボーナスの所得税はどう決まりますか?
扶養控除等申告書を出していない会社の賞与には、算出率の表の乙欄を使います。令和8年分の乙欄は、前月の社会保険料控除後の給与が22万4,000円未満なら10.21%、22万4,000円以上29万5,000円未満なら20.42%です。本業と合わせた1年分の税額は、条件にあてはまれば確定申告で精算します。

Q. 住民税はボーナスから引かれますか?
引かれません。会社員の住民税は、1年分を6月から翌年5月までの12回に分けて毎月の給与から差し引く仕組み(特別徴収)で、広島市の案内でもボーナスなど臨時の手当からは差し引かないとされています。

ここでの金額は、40歳未満・協会けんぽ東京(令和8年度)・雇用保険は一般の事業の料率で計算した概算です。実際の税額は勤務先の計算や扶養控除等申告書の内容によって異なります。

出典: 国税庁 No.2523 賞与に対する源泉徴収、国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和8年分)、国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(月額表・令和8年分)、国税庁 給与所得の源泉徴収税額の求め方(令和8年分)、国税庁 No.2662 年末調整のしかた、国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人、国税庁 個人の方に係る復興特別所得税のあらまし、全国健康保険協会 令和8年度保険料額表(東京都)、厚生労働省 令和8年度 雇用保険料率のご案内、広島市 住民税が給与から差し引かれる仕組み(特別徴収)