ボーナスにかかる社会保険料には上限があります。保険料のもとになる「標準賞与額」は賞与の総支給額から1,000円未満を切り捨てた額で、健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金は4月から翌年3月までの年度の累計で573万円まで、厚生年金は1か月150万円までしか保険料の計算に入りません。雇用保険には上限がなく、賞与の額そのものに料率(一般の事業なら令和8年度は0.5%)を掛けます。

40歳未満・協会けんぽ東京(令和8年度)で計算すると、賞与100万円の社会保険料は146,900円、200万円なら248,050円です。200万円では厚生年金が150万円で頭打ちになるため、上限がない場合より45,750円少なくなります。上限に届くのは、1か月に支払われる賞与の合計が150万円を超えるときか、年度内の賞与の合計が573万円を超えるときです。それより少ない賞与なら、40歳未満は額面の約14.7%、40〜64歳は介護保険が加わって約15.5%が社会保険料として引かれます。

標準賞与額は「1,000円未満を切り捨てた賞与」

日本年金機構の説明では、税金などを引く前の賞与の総支給額から1,000円未満を切り捨てた額が標準賞与額になり、これに健康保険と厚生年金の料率を掛けて保険料を出します。たとえば賞与が523,456円なら標準賞与額は523,000円です。健康保険・子ども・子育て支援金・厚生年金はこの523,000円に、雇用保険は523,456円に料率を掛けるので、40歳未満・協会けんぽ東京なら本人負担は合計76,830円です。

会社は賞与を支払った日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を出し、これで標準賞与額が決まります。同じ月に2回以上賞与が出たときは、その月の分を合算して届け出ます。厚生年金の標準賞与額は将来の年金の計算にも使われ、2003年4月以降の加入期間では、標準報酬月額と標準賞与額の合計から平均を出して報酬比例部分を計算します。

保険ごとの上限と数え方

上限は保険ごとに違います。協会けんぽの令和8年度の保険料額表と日本年金機構の説明をもとに整理すると、次のとおりです(料率は本人負担分で、協会けんぽ東京の例)。

保険本人負担の料率標準賞与額の上限数え方
健康保険4.925%573万円4月〜翌年3月の年度の累計
介護保険(40〜64歳)0.81%573万円健康保険と同じ
子ども・子育て支援金0.115%573万円健康保険と同じ
厚生年金9.15%150万円1か月ごと(同じ月の賞与は合算)
雇用保険0.5%(一般の事業)なし賞与の額そのもの(切り捨てなし)

子ども・子育て支援金は2026年4月分の保険料から始まった新しい負担で、支援金率は0.23%を会社と本人で半分ずつ負担します。こども家庭庁の事業主向けの案内では、毎月の給与だけでなく賞与からも「標準賞与×支援金率」で拠出するとされており、上限も健康保険と同じ年度の累計573万円です。名前が似ている「子ども・子育て拠出金」(0.36%)は会社だけが負担するもので、本人の賞与からは引かれません。雇用保険は、賞与も含めた賃金の総額に料率を掛ける仕組みなので、標準賞与額のような上限や1,000円未満の切り捨てはありません。月ごとの支援金の負担額は子ども・子育て支援金の計算でも確かめられます。

100万・200万・300万円の賞与で計算すると

40歳未満・協会けんぽ東京・令和8年度の料率で、年度の最初の賞与として計算した本人負担です。ボーナスの手取り計算機と同じ計算です。

賞与の額面健康保険子ども・子育て支援金厚生年金雇用保険合計
100万円49,250円1,150円91,500円5,000円146,900円
200万円98,500円2,300円137,250円10,000円248,050円
300万円147,750円3,450円137,250円15,000円303,450円

200万円と300万円では、厚生年金が150万円×9.15%の137,250円で止まっています。上限がなければ200万円で183,000円、300万円で274,500円になるところなので、差はそれぞれ45,750円と137,250円です。その分、額面に対する社会保険料の割合は100万円の約14.7%から、300万円では約10.1%まで下がります。40〜64歳なら介護保険が100万円で8,100円、200万円で16,200円、300万円で24,300円加わり、合計は155,000円・264,250円・327,750円です。手取りまでの金額はボーナス100万円の手取りやボーナス200万円の手取りの早見ページで見られます。

なお、厚生年金の上限を超えた部分は保険料がかからない代わりに、年金額の計算にも入りません。厚生年金の受け取り額の目安は厚生年金の早見表の記事で解説しています。

573万円は「年度の累計」で、夏と冬を合わせて数える

健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金の573万円は1回ごとの上限ではなく、4月1日から翌年3月31日までに受け取った賞与の標準賞与額の合計です。たとえば2026年7月に300万円、12月に300万円の賞与が出た人は、12月の分は573万円から300万円を引いた273万円だけが健康保険と支援金の対象になります。40歳未満・協会けんぽ東京なら、12月の健康保険と支援金の本人負担は約13万7,600円で、300万円全額にかけた場合の約15万1,200円より約1万3,600円少なくなります。厚生年金は月ごとの上限なので、7月も12月もそれぞれ150万円までで計算します。

年度で区切るので、12月の冬の賞与と翌年3月の決算賞与は同じ年度に数え、4月1日に累計が0に戻るので、翌年の夏の賞与は新しい年度で数えます。日本年金機構によると、月末以外の日に退職した月に支払われた賞与には保険料がかかりませんが、標準賞与額としては決まり、年度の累計には含まれます。育児休業などで保険料が免除されている期間に支払われた賞与も同じ扱いです。

当サイトのボーナスの手取り計算機は、573万円の上限を1回の賞与だけで判定する概算です。同じ年度にすでに受け取った賞与を合計すると573万円を超える人は、計算機の健康保険・支援金の額が実際より多めに出ます。社会保険料と所得税を合わせて賞与から何が引かれるかはボーナスの手取りが少ない理由の記事にまとめています。

「賞与」になるのは年3回まで、年4回以上は毎月の報酬に

社会保険で賞与として扱われるのは、名前が賞与か手当かを問わず、労働の対価として年3回以下支給されるものです。日本年金機構の説明では、年4回以上支給されるものは標準賞与額ではなく標準報酬月額の対象になり、結婚祝金のように労働の対価とみなされないものは対象外です。年4回以上の支給は毎月の保険料を決める報酬に入るため、上限も標準賞与額の573万円・150万円ではなく、標準報酬月額の上限(健康保険139万円・厚生年金65万円)で考えることになります。標準報酬月額のしくみは標準報酬月額の記事で解説しています。

ボーナスの所得税の率が前月の給与と扶養の人数でどう決まるかは、ボーナスの所得税が高いのはなぜ?で表にしています。

よくある質問

Q. ボーナスが150万円を超えたら、超えた分に厚生年金保険料はかかりませんか?
かかりません。厚生年金の標準賞与額は1か月150万円が上限で、本人負担は最大137,250円です(厚生年金の保険料率は年齢で変わりません)。同じ月に2回賞与が出たときは合算して150万円までです。超えた部分は年金額の計算にも入りません。健康保険と支援金は150万円を超えても、年度の累計573万円まではかかります。

Q. 子ども・子育て支援金はボーナスからも引かれますか?
引かれます。2026年4月分の保険料から、標準賞与額に支援金率0.23%を掛けた額を会社と本人で半分ずつ負担します。本人負担は賞与100万円なら1,150円で、上限は健康保険と同じ年度の累計573万円です。

Q. 退職する月にもらうボーナスにも社会保険料はかかりますか?
月末に退職する場合を除き、退職した月に支払われる賞与からは健康保険と厚生年金の保険料は引かれないと日本年金機構は説明しています。月末に退職する場合は、その月の分まで保険料がかかります。所得税は保険料の有無にかかわらず源泉徴収されます。

ここでの金額は、協会けんぽ東京(令和8年度)・雇用保険は一般の事業の料率で計算した概算です。加入している健康保険組合や勤務先の端数の処理によって、実際の金額は異なります。

出典: 日本年金機構 従業員に賞与を支給したときの手続き、日本年金機構 退職した従業員の保険料の徴収、日本年金機構 報酬比例部分、全国健康保険協会 令和8年度保険料額表(東京都)、全国健康保険協会 協会けんぽの子ども・子育て支援金率について、こども家庭庁 子ども・子育て支援金 事業主の皆様へ、厚生労働省 令和8年度 雇用保険料率のご案内、厚生労働省 雇用保険被保険者からの雇用保険料の控除方法、神奈川労働局 労働保険料の算定基礎となる賃金早見表