年末調整の生命保険料控除はいくら戻る?控除額の計算式と申告書の書き方【2026年分】

年末調整の書類のなかでも、保険料控除申告書は計算欄が多く、手が止まりやすい書類です。しかも記入した結果「いくら戻るのか」は書類のどこにも書かれていません。生命保険料控除で軽くなる税金は、控除額 × その人の所得税率でおおよそ見積もれます。この記事では、控除額の計算のしかたと、戻る金額の目安、申告書の記入の流れを順に整理します。
控除額は「保険の種類」と「契約した時期」で計算式が変わる
生命保険料控除は、支払った保険料を3つの区分に分けて控除額を計算します。死亡保障などの「一般生命保険料」、医療保険やがん保険などの「介護医療保険料」、老後の年金を受け取る「個人年金保険料」の3つです。さらに、契約日が平成24年1月1日以後なら新契約、平成23年12月31日以前なら旧契約として、別々の計算式を使います。
新契約の場合、1つの区分の年間保険料が2万円以下なら全額がそのまま控除額になります。2万円超4万円以下は「保険料×1/2+1万円」、4万円超8万円以下は「保険料×1/4+2万円」、8万円を超えると一律4万円です。つまり新契約は1区分あたり年8万円を払った時点で控除額が上限の4万円に届き、それ以上払っても控除は増えません。
旧契約は金額の段階が少し大きく、2万5千円以下は全額、2万5千円超5万円以下は「保険料×1/2+1万2,500円」、5万円超10万円以下は「保険料×1/4+2万5千円」、10万円超は一律5万円です。旧契約は区分は一般と個人年金の2つで、介護医療保険料の区分はありません。新旧の両方に加入している区分では、それぞれの控除額を足せますが、その区分の上限は4万円になります。3区分を合計した控除額の上限は12万円です。
2026年分は23歳未満の扶養親族がいると上限が6万円に
令和8年分(2026年分)から、23歳未満の扶養親族がいる人は、新契約の一般生命保険料について計算式が別になりました。年間保険料3万円以下は全額、3万円超6万円以下は「保険料×1/2+1万5千円」、6万円超12万円以下は「保険料×1/4+3万円」、12万円超は一律6万円です。一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に上がった形ですが、3区分合計の上限12万円は変わっていません。
この特例はもともと令和8年分だけの措置でしたが、令和8年度税制改正で令和9年分まで延長されました。たとえば子どもがいて新契約の死亡保険に年12万円払っている人なら、従来の計算では控除額4万円のところ、特例では6万円となり、控除額が2万円増えます。所得税率10%の人なら、所得税の差は2,000円(復興特別所得税を含めると約2,040円)です。
戻る金額の目安は「控除額×所得税率」
所得控除は税金そのものではなく、税金をかける前の所得を減らすしくみです。そのため戻る金額は、控除額に自分の所得税率を掛けた額になります。所得税率は課税所得に応じて5%〜45%の7段階で、課税所得195万円未満は5%、195万円以上330万円未満は10%、330万円以上695万円未満は20%です。会社員の多くはこのどこかに入ります。
具体例で見てみます。新契約の死亡保険に年6万円、医療保険に年3万円払っている人の場合、一般生命保険料は「6万円×1/4+2万円=3万5千円」、介護医療保険料は「3万円×1/2+1万円=2万5千円」で、控除額の合計は6万円です。所得税率10%なら所得税が6,000円(復興特別所得税を含めると約6,130円)軽くなります。同じ条件でも税率20%の人なら約1万2,250円です。控除額が上限の12万円に届いた場合でも、税率10%の人で所得税の軽減は1万2千円ほどにとどまります。
住民税にも生命保険料控除があり、こちらは翌年の住民税が安くなる形で効いてきます。住民税では新契約の1区分あたりの上限が2万8千円、3区分合計の上限が7万円です。住民税の所得割は一般に10%なので、上限まで控除を使ったときの住民税の軽減は年7,000円が目安になります。年末調整で12月の給与に上乗せされるのは所得税の分だけ、という点は分けて考えておくと混乱しません。
保険料控除申告書の書き方と添付する書類
記入には、秋ごろに保険会社から届く生命保険料控除証明書を使います。申告書の生命保険料控除の欄に、保険会社名、保険の種類、保険期間、契約者と受取人の氏名・続柄を証明書から書き写し、「新・旧」の区分に丸を付けて、その年に支払った保険料の金額を記入します。そのうえで区分ごとに新契約・旧契約の合計を出し、上で紹介した計算式に当てはめて控除額を書き込む流れです。最近は年末調整を電子化している会社も多く、その場合は控除証明書のデータを読み込めば計算は自動で行われます。
控除証明書は申告書と一緒に会社へ提出します。国税庁の案内では、旧契約の一般生命保険料で1契約の年間保険料が9,000円以下のものを除き、証明書の添付が必要とされています。新契約は金額にかかわらず必要です。証明書をなくしたときは保険会社に再発行を依頼できます。年末調整に間に合わなかった場合でも、確定申告をすれば控除を受けられます。
ほかの書類も含めた記入の全体像は年末調整の書き方がわからない人へ、精算されたお金が戻る時期は年末調整の還付金はいつ戻る?で解説しています。年収や扶養の状況を入れて還付額を試算したい場合は年末調整の還付金シミュレーションが使えます。
控除額の計算式や特例の期限は税制改正で変わることがあります。ご自身の年末調整の扱いは、勤務先の担当部署または税務署にご確認ください。
出典: 国税庁 No.1140 生命保険料控除、国税庁 A2-3 給与所得者の保険料控除の申告、国税庁 令和8年度税制改正の概要(個人所得課税)、国税庁 No.2260 所得税の税率、中央区 生命保険料控除・地震保険料控除(住民税)