会社員でも、年の途中まで国民年金に入っていた人や、学生の子どもの国民年金保険料を代わりに払っている人は、その保険料を年末調整で差し引けます。国民年金保険料は払った額の全額が社会保険料控除の対象で、「給与所得者の保険料控除申告書」の社会保険料控除の欄に書き、日本年金機構から届く控除証明書を付けて出せば手続きは終わりです。たとえば年収400万円の人が年21万5,040円を払った場合、所得税と翌年度の住民税は合わせて約3万2千円少なくなります(計算の条件は後述)。

年末調整で書けるのは「給与から引かれていない」保険料

会社の給与から天引きされている健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料は、会社がすでに把握しているので申告書に書く必要はありません。保険料控除申告書の社会保険料控除の欄に書くのは、自分で納付書や口座振替で払った保険料だけです。国民年金保険料はその代表で、ほかに国民健康保険料(税)、任意継続の健康保険料、国民年金基金の掛金なども同じ欄に書きます。

控除の対象になるのは、自分の分だけではありません。国税庁のタックスアンサー(No.1130)では、自分と生計を一にする配偶者や親族が負担することになっている社会保険料を自分が払った場合も控除できるとしています。よくあるのは次のような場面です。

場面だれの控除になるか
年の途中で会社に入るまで、自分の国民年金を払っていた払った本人。入社後の年末調整で申告できる
20歳以上の学生の子の国民年金を親が払った払った親(子と生計を一にしている場合)
扶養の外れた配偶者の国民年金を夫・妻が払った払った人(生計を一にしている場合)
子が過去の分をまとめて追納した・親が過去分をまとめて払った払った年の控除として、払った人が申告

なお、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は社会保険料控除ではなく、同じ申告書の「小規模企業共済等掛金控除」の欄に書きます。欄を間違えやすいので注意してください。

保険料控除申告書の社会保険料控除欄は4項目を書く

令和8年分の保険料控除申告書では、社会保険料控除の欄に次の4つを記入します。国民年金の場合の書き方の例と並べると次のとおりです。

記入する項目国民年金の場合の書き方
社会保険の種類国民年金
保険料支払先の名称日本年金機構
保険料を負担することになっている人の氏名自分の分なら自分の名前、子の分なら子の名前
あなたが本年中に支払った保険料の金額1月1日〜12月31日に実際に払った合計額

ポイントは2つあります。1つ目は、書く金額は「本年中に実際に払った額」だという点です。何月分の保険料かではなく、いつ払ったかで決まります。2025年分の保険料を2026年に払えば2026年分の控除になり、納付期限が来ていても払っていない分は入りません。2つ目は、子の分を書くときは「負担することになっている人」の欄に子の名前を書き、払った自分の申告書に記入するという点です。家族の分が複数あるときは、1人ずつ行を分けて書きます。

金額の目安として、令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の国民年金保険料は月額17,920円です。12か月分をこの月額で払ったとすると年21万5,040円になります。ただし1〜3月に払う分は前年度の月額になるため、正確な額は控除証明書で確かめてください。

控除証明書はいつ届く?10月以降に払い始めた人は注意

国民年金保険料は、ほかの社会保険料と違って金額の多少にかかわらず証明書類を申告書に付ける必要があります。使うのは日本年金機構が送る「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」です。令和8年分の送付日は、日本年金機構の案内では次のとおりです。

いつ払った人か電子データ(ねんきんネット等)書面(郵送)
2026年1月1日〜9月30日に払った人10月16日から10月下旬に順次10月23日から11月上旬に順次
2026年10月1日〜12月31日に初めて払った人2027年1月下旬から順次2027年2月上旬

証明書には、9月末までに払った「納付済額」と、10〜12月に払う見込みの「見込額」、その「合計額」が載っています。年末調整で控除できるのは年内に実際に払った額なので、12月まで予定どおり払うなら合計額、途中で払わなくなった月があればその分を除いた額を書きます。

10月以降に払い始めた人は、証明書が年末調整に間に合いません。国税庁の「年末調整のしかた」では、証明書を請求中などで確認できない場合でも、翌年1月末日までに出すことを条件に控除して年末調整してよいとされているので、まず勤務先に相談します。それも難しければ、翌年の確定申告で社会保険料控除を足せば、同じだけ税金が戻ります。

前納した場合と家族の分の注意点

1年分以内の前納は、払った年に全額を控除できます。2年前納の場合は「払った年に全額」か「各年に分けて」のどちらかを選べます。分けて控除する場合は、年分ごとの控除証明書を自分で用意して、それぞれの年の申告書に付けます。払った年に全額控除すると、その年は控除が大きく、翌年はゼロになる点を覚えておきましょう。

子の分を親が払うときは、控除証明書は保険料を納める本人(子)あてに届くことがあります。親の年末調整に使うので、子から受け取って申告書に付けてください。また、子が年の途中で就職や別居をして生計が別になった場合、国税庁の質疑応答では、生計を一にしていた間に払った分だけが親の控除の対象になるとされています。

年末調整でいくら戻る?年収別の目安

社会保険料控除は所得控除なので、戻る税金は「控除額×税率」で決まります。サイトの計算機で、東京都・40歳未満・独身・2026年分の条件で、年21万5,040円の国民年金保険料を控除した場合の差を出すと次のようになります(住民税は2027年度分が減ります)。

年収所得税(年末調整で戻る)住民税(翌年度に減る)合計
400万円約10,900円約21,500円約32,400円
600万円約21,900円約21,500円約43,400円

住民税は税率が一律10%なので、年収による差はあまり出ません。所得税は税率が上がるほど戻る額が増えます。自分の年収での還付の目安は年末調整の還付金シミュレーター、年収400万円の例は年収400万円の年末調整の還付金で確かめられます。申告書のほかの欄の書き方は年末調整の書き方がわからない人へや年末調整の生命保険料控除はいくら戻る?、退職して国民年金の支払いが難しいときは退職後の国民年金は免除できる?を参考にしてください。

よくある質問

Q. 控除証明書をなくしたらどうすればいいですか?
日本年金機構に再発行を申し込めます。ねんきんネットのほか、電話や年金事務所でも受け付けています。ねんきんネットで見られる証明書のPDFは「お客様控」で、年末調整の添付には使えない点に注意してください。

Q. 年末調整で書き忘れたら、もう戻らないのですか?
翌年の確定申告で社会保険料控除を足せば戻ります。会社によっては、年末調整のやり直しに応じてくれる場合もあります。

Q. 子の国民年金を払っていますが、子を扶養に入れていなくても控除できますか?
社会保険料控除の条件は扶養に入れているかではなく、生計を一にしているかどうかです。仕送りで学費や生活費をまかなっている学生の子であれば、別に住んでいても生計を一にしていると扱われることがあります。

この記事は一般的なしくみの解説です。生計を一にしているかどうかの判断や、前納の控除方法の選び方は、勤務先の担当者や税務署にご確認ください。

出典: 国税庁 No.1130 社会保険料控除、国税庁 No.1130 社会保険料控除(質疑応答)、国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(保険料控除申告書の受理と内容の確認)、国税庁 令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書、国税庁 2年前納された国民年金保険料の社会保険料控除について、日本年金機構 令和8年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について、日本年金機構 控除証明書(ハガキ)の見方、日本年金機構 国民年金の保険料はいくらですか。、日本年金機構 控除証明書を紛失してしまったのですが再発行できますか。