源泉徴収票の見方|見るべきは4つの数字だけ

年末〜1月に会社からもらう源泉徴収票。細かい数字が並んでいますが、見るべきは上段の4つの数字だけです。左から順に意味がわかれば、自分の税金の全体像がつかめます。
①支払金額 = いわゆる「年収」
1年間に会社が支払った給与・賞与の総額(額面)です。転職・ローン審査・ふるさと納税の上限計算で使う「年収」はこの数字。手取りではありません。
②給与所得控除後の金額 = 所得
支払金額から給与所得控除(会社員の概算経費。最低額は2025年分が65万円、2026年分が74万円)を引いた金額で、税法上の「所得」です。「年収」と「所得」は行政手続きで厳密に使い分けられるので、申請書類ではどちらを聞かれているかを確認しておくと安心です。
③所得控除の額の合計額
基礎控除・社会保険料控除・生命保険料控除・扶養控除などの合計。ここが大きいほど課税所得が減り、税金が安くなります。iDeCoに入っているのに「小規模企業共済等掛金控除」が反映されていない、扶養が抜けている、といった年末調整の出し漏れはこの欄でわかります。
④源泉徴収税額 = 1年間に払った所得税
②から③を引いた課税所得に税率をかけ、住宅ローン控除などの税額控除を差し引いた、確定済みの所得税額(復興特別所得税込み)です。医療費控除やふるさと納税(ワンストップ未使用時)の確定申告では、ここから還付額が計算されます。
4つの数字以外の欄はどこを見る?
上段の4つの下には、その4つの数字の内訳になる欄が並んでいます。どの欄が何の数字で、どんなときに見るのかを表にまとめました。
| 欄の名前 | 書いてあること | 見る場面 |
|---|---|---|
| 控除対象配偶者の有無等・配偶者(特別)控除の額 | 年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除を受けたか、その金額 | 配偶者の年収が変わった年に、申告どおり反映されたか |
| 控除対象扶養親族の数・16歳未満扶養親族の数 | 扶養控除の対象にした人数(特定・老人・その他の区分ごと) | 子どもや親を扶養に入れたのに人数が0になっていないか |
| 社会保険料等の金額 | 1年間に給与から引かれた健康保険・厚生年金・雇用保険などの合計(iDeCoの掛金は内書き) | 手取りの計算、ふるさと納税の上限の見積もり |
| 生命保険料の控除額・地震保険料の控除額 | 保険料控除証明書を出して認められた控除の額 | 証明書を出し忘れていないか |
| 住宅借入金等特別控除の額 | 年末調整で差し引いた住宅ローン控除の額 | 2年目以降の住宅ローン控除が入っているか |
| 基礎控除の額・所得金額調整控除額 | 本人の所得に応じた基礎控除の額、年収850万円超で子育て中などの人の調整控除の額 | ③の合計額の内訳を確かめるとき |
| 特定親族特別控除の額 | 19〜22歳の子などを特定親族として控除した額(令和7年12月以後の様式で追加) | 大学生の子のアルバイト収入が扶養の範囲を超えた年 |
| 摘要・中途就職/退職 | 前の勤務先の給与を合算した場合の内容、年の途中の入社・退職日 | 転職した年に、前職分が合算されているか |
配偶者や扶養の欄が空欄なのに、実際は家族を扶養している場合は、年末調整の申告書の書き漏れが考えられます。会社に申し出て再調整してもらうか、翌年に自分で確定申告をすると、払いすぎた所得税が戻ります。大学生の子がいる人は特定親族特別控除の対象と控除額、書類の書き方は年末調整の書き方もあわせて確認してください。
4つの数字で所得税を検算する方法
源泉徴収票の見方がわかると、④の源泉徴収税額が正しいかを自分で確かめられます。手順は次の4つです。
- ②給与所得控除後の金額 − ③所得控除の額の合計額 = 課税される所得(1,000円未満は切り捨て)
- 課税される所得 × 税率 − 控除額(課税所得195万円以下は5%、195万円超330万円以下は10%から97,500円を引く、など)
- 住宅ローン控除があれば、その額を差し引く
- 2.1%の復興特別所得税を加えるため102.1%をかけ、100円未満を切り捨てる
令和7年分の源泉徴収票で、年収500万円・社会保険料72万円・扶養なしの人を例にすると、次のようになります(社会保険料は計算のための仮の金額です)。
| 欄・計算 | 金額 |
|---|---|
| ①支払金額 | 500万円 |
| ②給与所得控除後の金額(500万円 − 給与所得控除144万円) | 356万円 |
| ③所得控除の額の合計額(社会保険料72万円+基礎控除68万円) | 140万円 |
| 課税される所得(② − ③) | 216万円 |
| 所得税(216万円 × 10% − 97,500円) | 118,500円 |
| ④源泉徴収税額(× 102.1%、100円未満切り捨て) | 120,900円 |
基礎控除は、令和7年分と令和8年分は所得によって額が変わります。令和7年分は合計所得132万円以下なら95万円、132万円超336万円以下なら88万円、336万円超489万円以下なら68万円、489万円超655万円以下なら63万円、655万円超2,350万円以下なら58万円です。上の例は所得356万円なので68万円になります。手元の源泉徴収票で計算した結果が④と大きく違う場合は、扶養や保険料控除の入れ漏れがないか、上の表の欄を見直してください。給与所得控除の額は給与所得控除の早見表で年収ごとに確認できます。
源泉徴収票はいつ・どうやってもらえる?
会社は、1年分の源泉徴収票を翌年1月31日までに税務署へ提出し、同じ内容のものを本人に交付します。年の途中で退職した人には、退職後1か月以内に交付されます。本人に渡す源泉徴収票にはマイナンバーは書かれません。
最近は紙ではなく、給与明細のサイトなどでPDFとして受け取る会社も増えています。電子で受け取るには事前の承諾が前提で、本人が紙を求めた場合は、会社は紙で交付することになっています。転職先で年末調整を受けるときや、確定申告をするときに必要になるので、受け取ったら保存しておきましょう。
源泉徴収票の見方でよくある質問
「支払金額」と給与明細の総支給額の合計が合わないのはなぜ?
支払金額には通勤手当などの非課税の手当は含まれません。また、12月分の給与を翌年1月に払う会社では、実際に支払った月の年に入ります。そのため、給与明細の総支給額を12か月分足した金額とずれることがあります。
源泉徴収税額が0円なのはなぜ?
③所得控除の額の合計額が②給与所得控除後の金額より大きい場合や、住宅ローン控除で所得税がすべて差し引かれた場合は、源泉徴収税額は0円になります。誤りではありません。
令和8年分(2026年分)の源泉徴収票は何が変わる?
2026年分は、給与所得控除の最低額が74万円に、基礎控除が合計所得489万円以下なら最大104万円に引き上げられたため、同じ年収でも②や③の金額が令和7年分と変わる人がいます。2027年1月ごろに受け取る源泉徴収票で、前年の分と並べて確かめてみてください。
手取りはここには書いていない
源泉徴収票には社会保険料の本人負担額(「社会保険料等の金額」欄)は載っていますが、住民税は載っていません(住民税は別途6月の決定通知書)。年収から手取りを知りたいときは手取り計算機に①の支払金額を入れるのが早道です。数字の検算をすると、まれに年末調整のミスが見つかることもあります。
出典: 国税庁 No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等、国税庁 令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引、国税庁 No.2662 年末調整のしかた、国税庁 No.1199 基礎控除、国税庁 No.2260 所得税の税率、国税庁 No.1410 給与所得控除、国税庁 No.2675 年末調整の過不足額の精算、国税庁 No.1135 小規模企業共済等掛金控除、総務省 個人住民税