同じ会社を辞めるのでも、タイミングで手元に残るお金が数万〜数十万円変わることがあります。「何月に・月のいつ辞めるか」の判断材料を、影響の大きい順に並べます。金額の例は、月給30万円・40歳未満・協会けんぽ東京都・2026年の料率と税制で計算した概算です。

結論:退職日で差が出る5つのポイント

項目差が出るタイミング月給30万円の例
賞与支給日に在籍していれば受け取れる(支給日在籍要件のある会社)賞与の全額
賞与が出た月の退職日その月の月末より前に辞めると、その賞与から社会保険料が引かれない賞与50万円で約7.1万円
月末退職か月末前日か月末前日なら退職月の健康保険・厚生年金が引かれない(代わりに国民年金と国保)約4.3万円(国民年金は17,920円)
住民税1〜4月に辞めると5月分までの残りが最後の給与などから一括で引かれる前年の所得で変わる
所得税年の途中で辞めて年内に再就職しないと、払いすぎた分は確定申告で戻る6月末退職で約3.8万円

影響大: 賞与の支給日を過ぎてから

最も金額が大きいのは賞与です。支給日在籍要件(支給日に在籍していないと不支給)を就業規則で確認し、支給日後の退職日を設定するのが基本。ただし退職意思を先に伝えると査定で減額される会社もあるため、支給後に切り出すのが安全です。夏賞与後の7月、冬賞与後の1月に退職が多いのはこのためです。

賞与が出た月に辞める場合は、退職日がその月の月末か、月末より前かでも差が出ます。日本年金機構は、退職月に支給する賞与は月末に退職する場合を除いて保険料控除の対象にならない、と案内しています。たとえば12月10日に賞与50万円を受け取り、12月30日に辞めれば、その賞与から健康保険・厚生年金・子ども・子育て支援金の合計約7.1万円は引かれません(雇用保険料と所得税は引かれます)(賞与50万円の手取り)。12月31日に辞めると、12月分の給与と賞与の両方に保険料がかかります。その代わり、引かれなかった分は将来の厚生年金の計算にも入りません。

影響中: 月末退職か、月末前日退職か

社会保険の資格喪失日は「退職日の翌日」で、喪失日の属する月の前月まで保険料がかかります。月末(例: 3/31)退職なら3月分まで社保を払い、月末前日(3/30)退職なら3月分の厚生年金・健保の天引きはなくなります。月給30万円なら、健康保険14,775円・厚生年金27,450円・子ども・子育て支援金345円の合計42,570円が1ヶ月分です(40歳以上は介護保険料も加わります)。

ただしその場合、3月分は自分で国民年金(令和8年度は月17,920円)と国民健康保険に入って払うことになります。国保は前年の所得と住んでいる市区町村で決まるので、差し引きでいくら浮くかは人によって違い、国保が高いほど差は小さくなります。厚生年金の加入期間も1ヶ月短くなるため、将来の年金額の面では月末退職のほうが有利なことが多い。転職先にすぐ入社するなら、空白なく繋がる月末退職が無難です。

影響中: 1〜4月退職は住民税が一括天引き

1〜4月に退職すると、5月分までの住民税の残額が最後の給与・退職金から一括徴収されます(原則。5月の退職なら、残りは5月分の通常の天引きだけです)。最終月の振込額が想定より数万〜十数万円減るので、資金計画に織り込んでおきましょう。6〜12月の退職なら、残りは納付書で分割して払えます(希望すれば最後の給与から一括で引いてもらうこともできます)。退職した翌年にも、在職中の所得にかかる住民税の納付書が届く点は退職した年の税金・保険料の注意点にまとめています。

2026年は年の途中で辞めると所得税が戻りやすい

会社が年末調整をするのは、原則として年末まで在籍している人です。年の途中で辞めた人のうち年末調整の対象になるのは、12月分の給与を受け取った後に退職した人などに限られます(国税庁 No.2665)。それ以外の人は、年内に再就職すれば新しい会社の年末調整で前の会社の分もまとめて精算し(前の会社の源泉徴収票を提出)、再就職しなければ翌年に自分で確定申告をして払いすぎた所得税を取り戻します(国税庁 No.1910・No.2674)。

2026年分はこの差が大きくなりやすい年です。毎月の給与からは基礎控除58万円の前提で所得税が引かれていますが、1年分の税額は令和8年度税制改正で最大104万円に上がった基礎控除で計算するからです。月給30万円・賞与なしで1年勤めた人でも、年末調整で約3.2万円が戻る計算になります(年末調整の還付金計算)。

年の途中で辞めると、その年の給与が少なくなるぶん、戻る額はさらに増えます。月給30万円の人が6月末に辞めて年内に再就職しない場合、1〜6月に引かれた所得税は約3.8万円で、6ヶ月分の給与180万円にかかる所得税は0円になるため、約3.8万円がほぼ全額戻ります。9月末に辞めた場合は、引かれた約5.7万円のうち約3.8万円が戻る計算です。還付のための申告は翌年1月1日から5年間出せるので、3月15日の確定申告の期限を過ぎても手続きできます(国税庁 No.2030)。

失業保険をもらうなら

自己都合退職の給付制限は2025年4月から原則1ヶ月に短縮されており、「辞めてから収入が入るまで」は待期7日+約1ヶ月です。自己都合で辞める場合、受け取るには原則として離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上必要なので、入社1年前後で辞めるときは退職日を決める前に数えておきましょう。受給額は失業保険の受給額計算機で、退職金の税金は退職金の手取り計算機で事前に確認しておくと、辞めどきの資金計画が立てられます。退職後の家計が何ヶ月もつかは退職シミュレータでまとめて確かめられます。

よくある質問

Q. 退職は何日前に伝えればいい?
正社員のように雇用期間の定めがない場合、民法627条では、退職を申し入れてから2週間で雇用が終わるとされています。就業規則で「1ヶ月前まで」などと決めている会社もあるので、引き継ぎの期間も含めて就業規則の期限に合わせて伝えるのが一般的です。契約期間が決まっている働き方では扱いが変わります。

Q. 12月退職と1月退職では何が違う?
12月分の給与を受け取ってから12月に辞めれば、会社の年末調整で所得税が精算されます。1月に辞めると、冬の賞与を受け取りやすい一方で、5月分までの住民税の残りが最後の給与などから一括で引かれます。

Q. 月の途中(15日など)に辞めるとどうなる?
月末以外の日に辞めると、資格喪失日が退職した月の中になるので、その月の健康保険・厚生年金の保険料は会社の給与から引かれません。その月からは国民年金と国民健康保険(または健康保険の任意継続)に入って自分で払います。

Q. 転職先が決まっているなら何日に辞めるのがいい?
月末に退職して翌月1日に入社すれば、健康保険と厚生年金が途切れず、国民年金や国保の手続きもいりません。

社会保険料・税金の扱いは、勤め先の給与の締め日・支払日や就業規則、前年の所得によって変わります。正確な金額は勤め先、年金事務所、税務署、お住まいの市区町村でご確認ください。

出典: 日本年金機構 退職した従業員の保険料の徴収、日本年金機構 国民年金保険料、横浜市 個人住民税の特別徴収に関するよくあるご質問、横浜市 納税の方法(個人の市民税・県民税)、国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人、国税庁 No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき、国税庁 No.2674 中途就職者の年末調整、国税庁 No.2030 還付申告、厚生労働省 令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます、ハローワーク 基本手当について、e-Gov法令検索 民法