手取りから額面(給与)を逆算する方法|割り戻しの目安と計算の手順【2026年】

転職の希望条件を出すとき、家計から「毎月これだけは振り込まれてほしい」という手取りは決まっていても、求人票や面接で話す数字は額面です。手取りから額面を出すには、天引きされる社会保険料と税金を足し戻す「逆算」が必要になります。ここでは、ざっくり出す方法と、もう少し正確に出す手順を順に整理します。
ざっくり逆算するなら「手取り÷0.8」
会社員の手取りは、独身・40歳未満なら額面のおよそ78〜81%に収まります。そこで、ほしい手取りを0.8で割ると、必要な額面月給の目安になります。手取り20万円なら20÷0.8=25万円、手取り30万円なら30÷0.8=37.5万円という具合です。
ただし、給料が上がるほど所得税と住民税の割合が増えるため、割る数は少しずつ小さくなります。当サイトの概算(協会けんぽ東京・賞与なし・扶養なし・2026年の料率)では、必要な額面月給は次のようになりました。
- 手取り18万円 → 額面 約22.3万円(手取り÷0.81)
- 手取り20万円 → 額面 約25.1万円(手取り÷0.80)
- 手取り25万円 → 額面 約31.6万円(手取り÷0.79)
- 手取り30万円 → 額面 約38.1万円(手取り÷0.79)
- 手取り35万円 → 額面 約44.7万円(手取り÷0.78)
手取り20万円台なら0.8、30万円台なら0.78〜0.79で割ると、概算との差はおおむね数千円に収まります。金額ごとの内訳は手取り20万円の額面や手取り25万円の額面のページにまとめています。
正確に出すなら「引かれるもの」を順に足し戻す
割り戻しの目安がずれるのは、天引きされる項目ごとに計算のしかたが違うからです。逆算するときは、次の順番で考えると整理しやすくなります。
1. 社会保険料(額面の約15%)。健康保険と厚生年金は、給料をそのまま掛けるのではなく、4〜6月の報酬などから決まる「標準報酬月額」という区切りのよい金額に料率を掛けます。2026年度の本人負担は、厚生年金が18.3%の半分の9.15%、協会けんぽ東京の健康保険が9.85%の半分の4.925%です。これに子ども・子育て支援金(0.23%の半分)と雇用保険(一般の事業で0.5%)が加わり、合計で額面の約15%になります。40〜64歳は介護保険料(1.62%の半分)も上乗せされます。
2. 所得税。額面から社会保険料を引いた残りに、給与所得控除や基礎控除などを当てはめて計算します。毎月の天引き額は国税庁の源泉徴収税額表で決まり、年末調整で1年分を精算します。月給30万円前後なら年間を通した負担は月数千円程度です。
3. 住民税。前年の所得をもとに計算され、6月から翌年5月までの12回に分けて天引きされます。所得割は10%が標準で、月給30万円前後なら月1万円台が目安です。
手取り25万円で確かめると、額面31.6万円から社会保険料が約4.7万円、所得税が約0.4万円、住民税が約1.4万円引かれ、残りがほぼ25万円になります。逆に言えば、手取り+社会保険料+所得税+住民税=額面が成り立つように額面を少しずつ動かして探すのが、逆算の中身です。この試算を自動で繰り返すのが手取りから額面を逆算する計算機です。
逆算の結果がずれる4つの理由
同じ手取りでも、人によって必要な額面は変わります。よくある理由は次の4つです。
年齢(介護保険料)。40歳になった月から介護保険料が加わるため、同じ手取り25万円でも必要な額面は数千円上がります。当サイトの概算では、40歳未満の約31.6万円に対し、40〜64歳では約31.8万円でした(標準報酬月額の区切りによって差の出方が変わります)。
住民税がまだかかっていない。住民税は前年の所得に対してかかるため、新卒1年目や前年に収入がなかった人は、天引きが始まるまで手取りが多めになります。住民税を引かない前提で逆算すると、2年目の6月以降に手取りが月1万円以上減ることがあります。詳しくは住民税はいつから引かれるかの記事で整理しています。
扶養家族や各種控除。扶養している家族がいる人や、生命保険料控除・iDeCoなどを使っている人は所得税・住民税が少なくなるため、必要な額面は下がります。
加入している健康保険と賞与。健康保険組合や協会けんぽの他の都道府県では料率が違います。また、年収を同じにしても賞与の割合が大きいほど月給は低くなるので、年収ベースで考えるときは「月給×12+賞与」で組み立てる必要があります。
転職・昇給の交渉で使うときの注意
求人票の「月給」には、固定残業代や各種手当が含まれていることがあります。逆算で出した額面と求人票の月給を比べるときは、何が含まれた数字かを確かめておくと、入社後の手取りの見込み違いを減らせます。月給と月収、額面の言葉の違いは額面とはの記事にまとめています。
また、年収の交渉は額面で行うのが一般的です。手取りで「月25万円ほしい」と伝えるより、賞与の有無を確かめたうえで「月給32万円以上」のように額面で伝えるほうが、話が食い違いにくくなります。前年の住民税の額や扶養の状況まで入れて確認したいときは、出てきた額面を手取り計算機に入れ直して、手取りが目標に届くかを確かめてください。
本記事の金額は、協会けんぽ東京支部の料率・独身・賞与なし・給与所得のみを前提にした2026年10月時点の概算です。実際の天引き額は勤務先の給与計算や加入している健康保険、自治体によって異なります。
出典: 全国健康保険協会 令和8年度都道府県単位保険料率、日本年金機構 厚生年金保険料額表、厚生労働省 令和8年度 雇用保険料率のご案内、国税庁 令和8年分 源泉徴収税額表、総務省 個人住民税