「節税になる」とよく聞くiDeCoとふるさと納税。実際に手取りがいくら変わるのかを、しくみの違いから整理します。結論を先に言うと、iDeCoは税金が本当に減る制度、ふるさと納税は税金の前払いで返礼品を得る制度です。

iDeCo: 掛金が全額所得控除=限界税率ぶん税金が減る

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は全額が所得控除になります。減る税金は「掛金×限界税率(所得税率+住民税10%)」です。

年収の目安限界税率月2.3万円拠出時の年間節税額
〜約520万円約15%約4.2万円
〜約670万円約20%約5.6万円
〜約1,090万円約30%約8.4万円
〜約1,310万円約33%約9.2万円

(2026年分・独身・40歳未満・協会けんぽ東京の場合の目安。月2.3万円は企業年金のない会社員の上限で、2026年12月分からは企業年金と合わせて月6.2万円まで引き上げられます)

年収が高いほど効果が大きいのがポイントです(限界税率のしくみは限界税率と実効税率の違い参照)。ただし60歳まで引き出せないため、手取りが増えるというより「老後資金に振り替えると税金がおまけで付く」制度と捉えるのが正確です。

ふるさと納税: 手取りは増えない。返礼品ぶん得をする

ふるさと納税は、上限の範囲内なら寄附額から2,000円を引いた全額が、その年の所得税と翌年度の住民税から差し引かれる制度です(ワンストップ特例を使った場合は全額が翌年度の住民税から)。つまり税金の総額はほぼ変わらず、手取りも増えません。得をするのは「実質2,000円で返礼品がもらえる」部分です(返礼品は寄附額の3割以下とするのが国の基準)。

控除には上限があり、目安は住民税所得割額の約2割。年収500万円・独身なら6万円前後です。上限を超えた寄附は純粋な持ち出しになるので、年収が確定に近づく年末に調整するのが安全です。

優先順位のセオリー

①ふるさと納税(ノーリスクで返礼品)→②会社に企業型DCのマッチング拠出があればそれ→③iDeCo・NISA(資金拘束や投資リスクを許容できる範囲で)、という順番が一般的です。どちらも年末調整・確定申告での手続きを忘れると効果ゼロなので、iDeCoは年末調整の「小規模企業共済等掛金控除」欄、ふるさと納税はワンストップ特例か確定申告を忘れずに。

控除後の自分の手取りベースは手取り計算機で確認できます(iDeCo等の個別控除は未反映のため、実際はその節税分だけ手取りが増えます)。

出典: 国税庁 No.1135 小規模企業共済等掛金控除、厚生労働省 iDeCoの概要、厚生労働省 確定拠出年金 2025年の制度改正、国税庁 No.2260 所得税の税率、総務省 ふるさと納税のしくみ 税金の控除について、総務省 ふるさと納税に係る指定制度の運用について(令和8年6月26日)