失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取っている間も、アルバイトはできます。ただし働いた日はすべて認定日に申告する必要があり、扱いは1日の労働時間で分かれます。1日4時間以上働いた日は「就労」としてその日の基本手当が出ず、受給期間内なら後ろへ繰り越されます。4時間未満の日は「内職・手伝い」として基本手当は出ますが、収入から1,429円(令和8年8月1日以降の控除額)を引いた額と基本手当日額の合計が、離職前の賃金日額の80%を超えると、超えた分だけ減額されます。週20時間以上の継続的な仕事に就くと「就職」となり、基本手当はそこで止まります。

たとえば月給30万円・35歳・自己都合退職(基本手当日額6,307円)の人なら、4時間未満の仕事で1日の収入が3,122円以下なら減額なし、時給1,200円で3時間(3,600円)働いた日は478円減って5,829円になります。以下、線引き・減額の計算・時期ごとの注意点・申告のしかたを順に整理します。

1日4時間と週20時間で扱いが3つに分かれる

東京や神奈川のハローワークの案内では、パート・アルバイト・研修などの呼び名や、収入があったかどうかに関係なく、働いた日は認定日に申告するよう求めています。そのうえで、働き方は次の3つに分けて扱われます。

働き方扱いその日の基本手当
週20時間以上の継続的な仕事就職就職日以降は支給されない(条件を満たせば再就職手当)
週20時間未満で、1日4時間以上働いた日就労支給されない。受給期間内なら後ろへ繰り越し
週20時間未満で、1日4時間未満働いた日内職・手伝い支給される。収入しだいで減額または不支給

「就労」の日に出なかった基本手当は消えるわけではなく、支給残日数として残ります。ただし受け取れるのは受給期間(原則として離職日の翌日から1年)の中だけです。働く日が多くて繰り越しが積み重なると、受給期間が終わる時点で残った日数分は受け取れなくなります。一方「内職・手伝い」の日は、減額された場合でもその日は1日分を受け取ったものとして所定給付日数から差し引かれます。減った金額はあとで戻らない点が、「就労」の日との違いです。

雇われて働く場合だけでなく、自営業の準備、家業の手伝い、業務委託での仕事、在宅の内職、ボランティアも同じ時間の基準で判断されます。友人の手伝いでまだ報酬を受け取っていない場合も申告が必要とされています。

4時間未満の日の減額の計算: 控除額は1,429円

厚生労働省が令和8年7月31日に公表した資料によると、減額の計算に使う控除額は令和8年8月1日以降1,429円(それまでは1,391円)です。計算は次の順に行います。

  1. その日の収入から1,429円を引く
  2. 1の額と基本手当日額を足し、賃金日額(離職前6か月の賃金÷180)の80%と比べる
  3. 80%以下なら減額なし。80%を超えたら、超えた分だけ基本手当日額から引く
  4. 1の額だけで賃金日額の80%以上になる日は、基本手当は支給されない

月給30万円・35歳・雇用保険の加入5年・自己都合の人の場合、賃金日額は10,000円、その80%は8,000円、基本手当日額は6,307円です(失業保険の計算機と同じ計算式)。4時間未満の仕事の1日の収入ごとに、その日の基本手当は次のようになります。

その日の収入収入−1,429円+日額減額その日の基本手当
2,400円(時給1,200円×2時間)7,278円なし6,307円
3,122円8,000円なし6,307円
3,600円(時給1,200円×3時間)8,478円478円5,829円
4,500円(時給1,500円×3時間)9,378円1,378円4,929円
9,429円以上-全額支給なし

減額なしで収入を得られる上限は「賃金日額の80%−基本手当日額+1,429円」で求められます。月給が低い人ほど給付率が高く、この上限は小さくなります。たとえば月給20万円・28歳の人(賃金日額6,666円、基本手当日額5,037円)では、上限は約1,724円で、時給1,200円で2時間働いた日(2,400円)でも675円減額されます。自分の基本手当日額は月給30万円の失業保険などの早見ページや、雇用保険受給資格者証で確かめられます。

4週間の認定期間でいくら変わるか

同じ月給30万円・日額6,307円の人が、28日間の認定期間に週2回アルバイトをした場合を比べます。働かなかった場合の基本手当は6,307円×28日=176,596円です。

働き方(8日間)この期間の基本手当アルバイト収入合計あとに残るもの
働かない176,596円0円176,596円-
3時間×時給1,200円(内職・手伝い)172,772円28,800円201,572円なし(減額の3,824円は戻らない)
5時間×時給1,200円(就労)126,140円48,000円174,140円8日分(50,456円)が受給期間内なら後で支給

3時間の働き方では、基本手当が3,824円減る代わりに28,800円の収入があり、この期間の受け取りは約2.5万円増えます。5時間の働き方では、この期間の受け取りは働かない場合より少なくなりますが、8日分の基本手当は支給残日数として残るので、受給期間内に受け取りきれば総額は働いた分だけ増えます。週の労働時間が20時間に近づくと「就職」と判断される可能性があるため、シフトを増やすときはハローワークに確認しておくと安心です。

待期・給付制限の期間に働くときの注意

手続きのあとの最初の7日間は待期で、離職理由にかかわらず基本手当は出ません。兵庫労働局のハローワーク神戸の案内では、待期は「失業の状態にあった日」が通算7日になるまでの期間とされており、この間にアルバイトをして失業の状態でなかった日は数えられません。待期中に働くと、そのぶん待期の終わりが後ろにずれ、支給の開始も遅れます。待期が明けるまでは働かずに過ごすほうが、受け取り始めの時期を見通しやすくなります。

自己都合で退職した人には、待期のあとに給付制限があります。ハローワークインターネットサービスのよくある質問では、離職日が2025年(令和7年)4月1日以降なら原則1か月とされています。神奈川のハローワークの案内では、給付制限の期間中に働いても基本手当の支給には影響しないとされており、収入による減額もありません。ただし週20時間以上の仕事に就けば就職となり、その後は基本手当が出ません。給付制限中に働いた日も、失業認定申告書に書く必要があります。給付制限の長さや基本手当日額の全体像は失業保険はいくら?で解説しています。

申告のしかた: 失業認定申告書の書き方と不正受給

アルバイトをした日は、認定日に出す失業認定申告書のカレンダーに記入します。4時間以上働いた日(就労)は○、4時間未満の日(内職・手伝い)は×を付けます。内職・手伝いで収入があった場合は、収入を受け取った直後の認定日に、収入の額と何日分の収入かも書きます。給料日が認定期間のあとになるときは、受け取ったあとの認定日に申告します。働いた日と時間、受け取った額を自分で手帳などに残しておくと、書き間違いを防げます。

働いたことを申告しなかったり、実際と違う内容を書いたりすると不正受給になります。ハローワークインターネットサービスや大阪労働局の案内では、不正受給と判断されると以後の支給が止まり、受け取った額の返還に加えて、悪質な場合は不正に受けた額の2倍以下の納付を命じられ、合わせて最大3倍の額を納めることになるとされています。申告の書き方に迷ったときは、認定日の前にハローワークの窓口で確認できます。

よくある質問

Q. 単発・日払いのアルバイトでも申告は必要ですか?
必要です。1日だけの仕事や日払いの仕事でも、働いた日は失業認定申告書に書きます。4時間以上なら就労、4時間未満なら内職・手伝いとして扱われます。

Q. 失業保険をもらいながら、いくらまでなら減額されずに働けますか?
4時間未満の仕事なら、1日の収入が「賃金日額の80%−基本手当日額+1,429円」以下であれば減額されません。月給30万円・35歳の人なら1日3,122円、月給20万円・28歳の人なら1日約1,724円が目安です。月の合計額ではなく1日ごとに判断します。

Q. アルバイト先で雇用保険に入ることになったらどうなりますか?
週20時間以上で継続して働く仕事は雇用保険の加入対象で、ハローワークでは「就職」として扱われ、就職日以降の基本手当は出ません。1年を超えて働く見込みがあるなどの条件を満たせば、残った日数に応じて再就職手当を受け取れる場合があります。

金額は令和8年8月1日以降の基準による概算です。実際の扱い(就労・内職の区別、減額の額)は、管轄のハローワークの判断によって決まります。

出典: 東京労働局 ハローワーク渋谷 雇用保険求職者給付についてお問合せが多い項目(Q&A)、神奈川労働局 雇用保険受給者のみなさまへ(R7.10)、厚生労働省 雇用保険の基本手当日額の変更(令和8年8月1日から)、ハローワークインターネットサービス よくあるご質問(雇用保険について)、兵庫労働局 ハローワーク神戸 失業保険受給中の方、ハローワークインターネットサービス 基本手当について、ハローワークインターネットサービス 不正受給の典型例、大阪労働局 不正受給について