寄附先が6団体以上になった、医療費控除や副業の申告もある、ワンストップ特例の期限に間に合わなかった。こうした場合、ふるさと納税の控除は確定申告で寄附金控除として申告します。書く場所は多くありませんが、住民税の欄を書き漏らすと住民税側で控除されないことがあるなど、つまずきやすい点もあります。この記事では、2026年(令和8年分)に寄附した人が2027年に申告する場面を想定して、必要な書類、申告書の書き方、控除額の計算、よくある間違いの直し方を、国税庁と総務省の資料をもとに整理します。

確定申告の前にそろえる書類

寄附金控除を受けるには、寄附したことを証明する書類が要ります。基本は、寄附した自治体から届く「寄附金受領証明書」です。寄附した回数だけ届くので、1年分をまとめて保管しておきます。国税庁の案内によると、令和3年分以後の確定申告では、寄附ごとの受領証明書の代わりに、ふるさと納税サイトなどの特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」(1年分の寄附額をまとめたもの)を使うこともできます。

この証明書は、マイナポータル連携で取り込むか、ふるさと納税サイトからダウンロードして使います。電子データで使う場合は国税庁の指定するXML形式である必要があり、PDFでは使えない点に注意が要ります。会社員なら、あわせて会社から受け取った源泉徴収票も手元に置いておきます。申告書に給与の金額や源泉徴収税額を書き写すためです。源泉徴収票のどこを見ればよいかは源泉徴収票の見方で説明しています。

申告書の書き方:第一表と第二表の2か所ずつ

ふるさと納税の分は、確定申告書の第二表の2つの欄に書き、その合計を第一表に反映させます。国税庁の作成コーナーで作る場合は、寄附金控除の画面で寄附先と金額を入れると、下の欄にも自動で反映されます。紙で書く場合の流れは次のとおりです。

書く場所書く内容
第二表「寄附金控除に関する事項」寄附先の自治体名と寄附金額(複数あれば合計)
第二表「住民税・事業税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」ふるさと納税の寄附金額(上と同じ額)
第一表「所得から差し引かれる金額」の寄附金控除計算した寄附金控除額(寄附額−2,000円が基本)

見落としやすいのが2行目の住民税の欄です。所得税の確定申告書は住民税の申告も兼ねているため、国税庁は、この欄が空欄だと住民税で控除されないことがあると注意しています。ふるさと納税の控除額の大部分は住民税から差し引かれるので、ここを書き漏らすと控除額が大きく減ります。e-Taxやマイナポータル連携を使うと、自治体名や金額の写し間違いを減らせます。

控除額の計算式と、どこから戻るか

確定申告をした場合、寄附額のうち2,000円を超える部分は、所得税と住民税の3つに分かれて控除されます。所得税の寄附金控除額は、国税庁の説明では「寄附金の合計額」と「総所得金額等の40%」の低いほうから2,000円を引いた額です。住民税は、総務省の説明によると、基本分が(寄附額−2,000円)×10%、特例分が(寄附額−2,000円)×(100%−10%−所得税率)で、特例分には住民税所得割額の2割という上限があります。

たとえば所得税率10%の人が年間5万円を寄附した場合の概算は次のとおりです(復興特別所得税の分は除いています)。

控除の種類計算金額の目安
所得税(還付)48,000円×10%4,800円
住民税・基本分48,000円×10%4,800円
住民税・特例分48,000円×80%38,400円
合計48,000円

所得税の分は申告後に口座へ振り込まれ、住民税の分は翌年6月からの住民税が少なくなる形で反映されます。確定申告をしても、戻ってくる現金は所得税の数千円だけということが多いのはこのためです。特例分の上限を超えて寄附すると自己負担が2,000円を超えるので、寄附できる上限の目安はふるさと納税の上限額シミュレーションや年収500万円の上限額の目安などで先に確かめておくと安心です。

よくある間違いと、あとから直す方法

いちばん多いのは、ワンストップ特例を申請した分を確定申告に入れ忘れるケースです。確定申告をするとワンストップ特例の申請はなかったものとして扱われるため、国税庁は、特例を申請した分も含めて寄附金控除額を計算する必要があるとしています。入れ忘れると、その寄附はどこからも控除されません。ワンストップ特例の条件や期限はワンストップ特例はいつまで?にまとめています。

申告したあとで寄附の入れ忘れや住民税の欄の書き漏らしに気づいたときは、税務署に「更正の請求」をして直せます。国税庁は、ワンストップ特例を申請したのに誤って確定申告をした場合も、更正の請求で寄附金控除を受けられると案内しています。また、本来は確定申告をしなくてよい会社員が還付を受けるための申告(還付申告)は、国税庁の説明では翌年1月1日から5年間出せます。医療費控除と一緒に申告する場合の流れは医療費控除は年末調整でできない?も参考になります。

よくある質問

Q. 確定申告の期間はいつ?
2026年中の寄附なら、令和8年分として2027年に申告します。確定申告の期間は原則として翌年2月16日から3月15日までですが、還付を受けるだけの申告は1月から出せます。

Q. 返礼品は申告が必要?
国税庁の質疑応答では、返礼品の経済的利益は受け取った年の一時所得にあたるとされています。一時所得には最高50万円の特別控除があるため、ほかの一時所得と合わせた総収入金額が50万円以下なら税金はかかりません。返礼品の分を寄附金控除の欄に書く必要はありません。

Q. 受領証明書をなくしたら?
寄附した自治体に再発行を頼むか、ふるさと納税サイトの「寄附金控除に関する証明書」を使う方法があります。

寄附金控除の計算や手続きは、所得の状況やほかの控除によって変わることがあります。詳しくは税務署・お住まいの市区町村、または国税庁・総務省の資料でご確認ください。

出典: 国税庁 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)、国税庁 No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)、国税庁 ふるさと納税に係る寄附金控除に関する証明書等について、国税庁 ふるさと納税をされた方へ(確定申告特集)、国税庁 No.2030 還付申告、国税庁 質疑応答事例「ふるさと納税」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係、総務省 ふるさと納税のしくみ 税金の控除について