ふるさと納税で寄附をしても、それだけでは税金は安くなりません。控除を受けるには、確定申告をするか、寄附先の自治体に「ワンストップ特例」の申請書を出すかのどちらかの手続きが要ります。会社員の多くが使うワンストップ特例は手続きが簡単な反面、期限が寄附した翌年の1月10日と早く、年末に寄附が集中すると間に合わないことがあります。この記事では、期限、使える条件、申請のやり方、無効になってしまうケースを順に整理します。

申請期限は寄附した翌年の1月10日(必着)

ワンストップ特例の申請書は、寄附をした翌年の1月10日までに寄附先の自治体へ届いている必要があります。2026年中に寄附した分なら、期限は2027年1月10日です。名古屋市など多くの自治体が「必着」と案内しており、消印の日付ではなく自治体に届いた日で判断されます。年末年始は郵便の配達日数がのびやすく、12月下旬に寄附すると申請書の用紙が手元に届くのが年明けになることもあります。

期限を過ぎた場合でも、控除そのものを受けられなくなるわけではありません。その場合は寄附した翌年の3月15日までに確定申告をして、寄附金控除を申告します。確定申告では寄附先が発行する寄附金受領証明書が必要になるので、ワンストップ特例を使うつもりの人も、証明書は捨てずに取っておくと手続きを切り替えやすくなります。

使えるのは「確定申告が不要」かつ「寄附先が5団体以内」の人

ワンストップ特例を使える条件は2つです。1つ目は、もともと確定申告をする必要のない給与所得者などであること。勤務先の年末調整で所得税の精算が済んでいる会社員がこれにあたります。国税庁の案内では、給与の年間収入が2,000万円を超える人や、給与以外の所得(副業など)の合計が20万円を超える人などは確定申告が必要とされており、こうした人はワンストップ特例を使えません。副業の申告の線引きは副業20万円以下なら申告不要?で詳しく解説しています。

2つ目は、1年間の寄附先が5団体以内であることです。数えるのは寄附した回数ではなく自治体の数で、同じ自治体に何回寄附しても1団体として数えます。都道府県と市区町村はそれぞれ1団体です。6団体以上に寄附した年は、ワンストップ特例は使えず、確定申告で控除を受けることになります。

ワンストップ特例を使った場合、所得税からは控除されず、控除額の全額が翌年度の住民税から差し引かれます。確定申告の場合は所得税の還付と翌年度の住民税の減額に分かれますが、総務省の説明では、どちらの方法でも寄附額から2,000円を引いた額が原則として控除されるしくみです(控除には年収や家族構成で決まる上限があります)。たとえば3つの自治体に合計5万円を寄附し、上限の範囲内に収まっていれば、4万8,000円が翌年度の住民税から差し引かれます。

申請のやり方:紙の申請書かオンラインか

紙で申請する場合は、寄附先ごとに「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を出します。多くの自治体では、寄附の申し込み時にワンストップ特例を「希望する」を選ぶと、寄附金受領証明書と一緒に申請書の用紙が送られてきます。用紙が届かないときは、自治体のホームページからダウンロードできることが多いです。申請書には氏名・住所・マイナンバーなどを書き、確定申告が不要な人であること、寄附先が5団体以内であることに当てはまるかどうかを確認する欄にチェックを入れます。

申請書と一緒に、マイナンバーを確認できる書類と本人の身元を確認できる書類の写しを同封します。岸和田市の案内では、マイナンバーカードを持っている人はカードの表と裏の写しで両方を満たし、持っていない人は通知カードかマイナンバーが記載された住民票の写しに、運転免許証やパスポートの写しを組み合わせる形です。必要書類は自治体ごとに少し異なるので、寄附先の案内を確認しておくと書き直しを防げます。

2022年中の寄附からは、一部の自治体でマイナンバーカードを使ったオンライン申請もできるようになりました。スマートフォンでマイナンバーカードを読み取ると申請が完了し、紙の申請書や本人確認書類の写しを郵送する必要がありません。郵送の日数を気にしなくてよいので、年末に寄附したときの期限対策にもなります。対応しているかどうかは、寄附先の自治体や寄附に使ったサイトで確かめられます。

引っ越し・確定申告をしたときは手続きが変わる

申請書を出したあと、寄附した翌年の1月1日までに引っ越しなどで住所や氏名が変わった場合は、翌年1月10日までに「申告特例申請事項変更届出書」を寄附先の自治体に出します。住民税は1月1日時点の住所地で課税されるため、流山市の案内では、申請内容が1月1日時点の住民登録と違うとワンストップ特例が無効になる場合があるとしています。オンラインで申請した人も、オンライン上で変更の手続きをします。

もうひとつ注意したいのが、ワンストップ特例を申請したあとで確定申告をすると、申請が無効になる点です。医療費控除や住宅ローン控除の1年目などで確定申告をする場合は、ワンストップ特例を申請した分も含めて、すべての寄附を寄附金控除として申告書に書き込みます。東京国税局は、ふるさと納税の寄附金控除を入れずに確定申告をしてしまう誤りが多いと注意を呼びかけています。書き漏らしたまま申告すると、住民税の寄附金控除も受けられなくなります。

書き漏らしに後から気づいた場合は、国税庁の確定申告書等作成コーナーから「更正の請求」を出し、寄附金控除を追加できます。控除される総額はワンストップ特例でも確定申告でも原則として同じで、手続きの違いは控除が所得税と住民税にどう分かれるかです。年収ごとの控除上限の目安はふるさと納税の上限額シミュレーションで計算でき、年収500万円の場合の目安は年収500万円のふるさと納税上限にまとめています。iDeCoとあわせた効果はiDeCo・ふるさと納税で手取りは増えるのか?で解説しています。

ワンストップ特例の必要書類や受付方法は寄附先の自治体によって異なります。ご自身の控除の扱いは、寄附先の自治体、お住まいの市区町村、または税務署にご確認ください。

出典: 総務省 ふるさと納税の流れ、総務省 税金の控除について、東京国税局 「ふるさと納税ワンストップ特例」の申請書を提出された方、国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人、名古屋市 ふるさと納税ワンストップ特例制度、岸和田市 ふるさと寄附に係る税控除について、流山市 ふるさと納税ワンストップ特例は確定申告や市民税・県民税申告をすると無効になります