ひとり親控除は、配偶者がいない状態で子どもを育てている人の所得から一定額を差し引く制度です。2026年分(令和8年分)の控除額は所得税35万円・住民税30万円で、令和8年度の税制改正により所得税は2027年分から38万円、住民税は2028年度分から33万円に上がります。この記事では、対象になる条件、税金がいくら軽くなるか、寡婦控除との違い、申告のしかたを国税庁と財務省の資料をもとに整理します。

ひとり親控除の3つの条件(2026年分)

対象になるかどうかは、原則としてその年の12月31日時点の状況で判定します。まず前提として、婚姻をしていないか、配偶者の生死が明らかでない一定の人であることが必要です。離婚・死別だけでなく、一度も結婚していない未婚のひとり親も含まれ、性別も問いません。そのうえで、次の3つをすべて満たす人が対象です。

条件内容
事実婚の相手がいない事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと
生計を一にする子がいる子の総所得金額等が62万円以下で、ほかの人の同一生計配偶者や扶養親族になっていないこと
本人の所得本人の合計所得金額が500万円以下であること

子の所得要件は、2025年分までの58万円以下から、令和8年度の税制改正で62万円以下に上がりました。この改正は2026年分から適用されます。子どもが給与収入だけなら、2026年分の給与所得控除の最低額74万円を足して、年収136万円以下が目安です。子の年齢には条件がないため、16歳未満の子どもでも対象になります。

本人の合計所得金額500万円を給与収入に直すと、2026年分の給与所得控除(収入660万円超850万円以下は「収入×10%+110万円」)から逆算して、給与収入およそ677万円までが目安です。副業や不動産などほかの所得がある場合はそれも合計して判定するので、給与だけで考えると判定がずれることがあります。

2026年分はいくら軽くなる?税率別の目安

所得控除は税額から直接引くのではなく、税金をかける前の所得から差し引く仕組みです。そのため軽くなる税額は「控除額×税率」で決まります。住民税の所得割は一律10%なので、住民税の控除30万円でおよそ3万円軽くなります。所得税は本人の課税所得に応じた税率で変わります。

所得税率所得税の軽減(35万円×税率)住民税の軽減(30万円×10%)合計の目安
5%約1万7,500円約3万円約4万7,500円
10%約3万5,000円約3万円約6万5,000円
20%約7万円約3万円約10万円

上の表は復興特別所得税を含めない概算です。子どもが16歳以上で扶養親族にもあたるなら、ひとり親控除とは別に扶養控除も受けられます。例えば所得税率10%の人なら、16〜18歳の子の扶養控除(所得税38万円・住民税33万円)を合わせて、ひとり親控除の約6万5,000円にさらに約7万1,000円が加わる計算です。扶養控除の年齢区分は扶養控除は子どもが何歳から?で整理しています。

寡婦控除との違いと2027年分以降の改正

似た制度に寡婦控除があります。寡婦控除の控除額は所得税27万円で、夫と離婚した後に婚姻しておらず扶養親族がいる人、または夫と死別した後に婚姻していない人などが対象です。こちらも本人の合計所得金額500万円以下という条件があります。ただし、ひとり親控除の条件を満たす人は寡婦控除ではなく、ひとり親控除を受けます。両方を重ねて受けることはできません。生計を一にする子がいない、または子の所得が62万円を超えている女性が、子ども以外の扶養親族を養っている場合などに寡婦控除が使われます。

令和8年度の税制改正では、ひとり親控除そのものも引き上げられました。財務省の税制改正大綱によると、所得税の控除額は35万円から38万円になり、2027年分(令和9年分)以後の所得税から適用されます。住民税は30万円から33万円になり、2028年度分(令和10年度分)以後の個人住民税から適用されます。住民税は前の年の所得に対してかかるため、2027年の所得から、所得税・住民税ともに新しい金額で計算されることになります。国税庁のQ&Aでも、2026年分の年末調整にはこの引き上げの影響はないとされています。所得税率10%の人なら、引き上げ後は所得税3万8,000円、住民税3万3,000円で合計約7万1,000円の軽減となり、2026年分より約6,000円大きくなります。

申告のしかた:会社員は年末調整、それ以外は確定申告

会社員やパートで年末調整を受ける人は、勤務先に出す「扶養控除等(異動)申告書」でひとり親にあたることを申告します。年の途中で離婚した場合も、12月31日時点の状況で判定するため、その年の年末調整からひとり親控除を受けられます。逆に年の途中で再婚したり、事実婚の相手と暮らし始めたりすると、その年は対象外になります。申告書の書き方の全体は年末調整の書き方がわからない人へにまとめています。

年末調整で申告しそびれた場合や、自営業・フリーランスの人は、確定申告でひとり親控除を受けます。過去の年分でも、源泉徴収された所得税の還付を受けるための還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間出すことができます。控除を入れた場合に年末調整でいくら戻るかは年末調整の還付金シミュレーションで、手取り全体への影響は手取り計算ツールで試算できます。

ひとり親控除の適用条件や控除額は税制改正で変わることがあります。ご自身が対象になるかは、勤務先の担当部署または税務署にご確認ください。

出典: 国税庁 No.1171 ひとり親控除、国税庁 No.1170 寡婦控除、国税庁 No.1410 給与所得控除、国税庁 No.2030 還付申告、国税庁 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A、財務省 令和8年度税制改正の大綱、財務省 令和8年度税制改正の大綱の概要