自己都合で会社を辞めた人でも、2025年4月1日以降に受講を始めた教育訓練を「離職日前1年以内に修了している」か「離職日以後に受けている」なら、失業保険(雇用保険の基本手当)の給付制限が解除されます。給付制限は2025年4月以降の離職で原則1か月(5年以内に2回以上の自己都合離職で受給資格決定を受けている場合などは3か月)なので、解除されれば7日間の待期が終わった時点から支給の対象になります。対象になるのは、教育訓練給付金の対象講座・公共職業訓練・短期訓練受講費の対象講座などで、重大な理由による解雇(重責解雇)の場合は解除されません。

たとえば月給30万円・30歳・雇用保険の加入5年・自己都合退職の人は、サイトの計算機で基本手当日額6,307円・所定給付日数90日・総額567,630円です。給付制限が解除されてもこの総額は変わりませんが、約1か月早く受け取り始められるため、退職直後の生活費の当てがつきやすくなります。以下、条件・タイミング・手続き・費用の補助の順に整理します。

給付制限が解除される3つの条件

厚生労働省の案内とハローワークの資料をもとに、解除の条件を表にまとめます。

条件内容
離職の理由正当な理由のない自己都合退職(重責解雇は対象外)
訓練の種類教育訓練給付金の対象講座、公共職業訓練等、短期訓練受講費の対象講座、これらに準ずるものとして国が定める訓練
受講の時期2025年4月1日以降に受講を開始したもので、離職日前1年以内に修了した(途中でやめたものは除く)か、離職日以後に受講している

教育訓練給付金の対象講座は、厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で講座名や資格名から探せます。簿記・医療事務・介護職員初任者研修・IT系の資格講座など、指定を受けた講座だけが対象なので、申し込む前に指定講座かどうかを検索システムで確かめることが出発点になります。指定されていない民間スクールや独学は、この解除の対象になりません。

正当な理由のある自己都合(家族の介護や配偶者の転勤による転居など)や、更新を希望したのに契約が更新されなかった雇止めは、もともと給付制限がかかりません。教育訓練による解除が意味を持つのは、それ以外の「自分の都合で辞めた」ケースです。

いつから支給されるか:受講のタイミング別

厚生労働省の改正資料では、解除されるのは「訓練を受ける期間と受け終わった後の期間」の給付制限とされています。つまり、いつ受講を始めたかで支給の始まりが変わります。

受講のタイミング給付制限の扱い
在職中に受講し、離職日前1年以内に修了給付制限の全体が解除され、待期7日の後から支給対象
受給資格決定の時点ですでに受講中給付制限の全体が解除され、待期7日の後から支給対象
給付制限の期間中に受講を開始受講を始めた日以降の給付制限が解除され、それより前の期間は支給なし
給付制限が終わってから受講を開始解除の効果はない(もともと支給が始まっている)

給付制限そのものは支給の時期を後ろにずらす仕組みで、所定給付日数(自己都合なら加入期間に応じて90日・120日・150日)が減るわけではありません。解除によって変わるのは受け取り始める時期です。ただし受給期間は原則として離職日の翌日から1年なので、給付制限が3か月の人や、受給の手続きが遅れた人は、解除によって1年以内に受け取りきれる日数が増える場合があります。

月給30万円・30歳の例で、給付制限1か月がまるごと解除された場合を考えると、待期明けから日額6,307円の対象になり、28日分の認定なら176,596円です。この金額の振込が約1か月早くなる、という効果になります。自分の月給・年齢での金額は失業保険の計算機や、月給別の早見表(例: 月給30万円の失業保険)で確かめられます。

ハローワークでの手続きと証明書

解除はハローワークへの申し出と書類の提出で行われ、自動では適用されません。厚生労働省は、訓練を行う施設が訓練の開始日を証明する書類の参考様式(給付制限解除に係る証明書)を公開しています。提出する書類はおおむね次のとおりです。

  • 受給資格決定の時点で受講中、またはその後に受講を始める場合: 訓練の開始日が書かれた領収書、または訓練施設が発行する訓練開始日の証明書
  • 離職前に修了している場合: 修了日が書かれた修了証明書など

給付制限の期間中に受講を始める場合は、申し出の期限が受講開始後の失業認定日などに決められています。期限を過ぎると解除を受けられないことがあるので、受講の申し込みをした段階でハローワークの窓口に伝えておくと確実です。解除を受けたあとも、失業認定を受けるための求職活動の実績は通常どおり必要です。

受講料の一部は教育訓練給付金で戻る

給付制限の解除とは別に、指定講座の受講料は教育訓練給付金で一部が戻ります。ハローワークの案内による給付率は次のとおりです。

講座の種類給付の内容
一般教育訓練受講料の20%(上限10万円)
特定一般教育訓練受講料の40%(上限20万円)。資格を取って修了後1年以内に就職すると50%(上限25万円)
専門実践教育訓練受講料の50%(年間上限40万円)。資格取得と就職で70%、さらに賃金が5%以上上がると80%

給付金を受け取るには、雇用保険に加入していた期間が原則3年以上(初めて受け取る人は一般・特定一般で1年以上、専門実践で2年以上)あり、離職者の場合は離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であることが必要です。たとえば受講料10万円の一般教育訓練講座なら、修了後に2万円が戻ります。給付金の支給額が4,000円以下の場合は支給されません。

受講料と、早く受け取れる基本手当の時期を並べて考えると、資格の勉強を予定している人にとって選択肢が広がる制度です。退職のタイミングそのものに迷っている人は退職は何月がいい?、受給中のアルバイトの扱いは失業保険をもらいながらアルバイトはできる?もあわせて読むと全体の流れがつかめます。

よくある質問

Q. 在職中にオンライン講座を受けて修了していても解除される?
2025年4月1日以降に受講を始め、離職日前1年以内に修了した講座が教育訓練給付金の指定講座などであれば対象になり得ます。判断の基準は受講の形式ではなく指定を受けた講座かどうかなので、受けた講座名を教育訓練給付制度の検索システムで確かめ、迷う場合はハローワークに確認します。

Q. 途中で受講をやめたらどうなる?
離職前に受けた訓練は、途中でやめたもの(途中退校)は対象外です。離職後の受講で途中でやめた場合の扱いは、ハローワークに確認してください。

Q. 給付制限が解除されると、もらえる総額は増える?
増えません。総額は基本手当日額×所定給付日数で決まり、解除で変わるのは支給が始まる時期です。月給30万円・30歳・加入5年の自己都合退職なら総額567,630円のまま、約1か月早く受け取り始められます。

雇用保険の給付は個別の離職理由や手続きの状況で扱いが変わります。最終的な判断は住所地を管轄するハローワークにご確認ください。

出典: 厚生労働省 令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます、厚生労働省 令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について、ハローワークインターネットサービス 教育訓練給付金、ハローワークインターネットサービス 基本手当について、厚生労働省 教育訓練給付制度