国民年金の付加保険料は何年で元が取れる?月400円で年金が増える仕組みと注意点【2026年】
国民年金の付加保険料は月400円で、65歳から受け取る付加年金は年200円×付加保険料を納めた月数です。払った額の半分が毎年戻ってくる計算なので、年金を受け取り始めてから2年で、払った付加保険料と同じ額を受け取れます。65歳から受け取るなら67歳で元が取れ、それ以降は受け取るほど上回ります。日本年金機構も「2年以上受け取ると、納付した付加保険料以上の年金を受け取れる」と案内しています。
たとえば20歳から60歳まで40年(480か月)納めると、払う付加保険料は合計19万2,000円、上乗せされる付加年金は年9万6,000円です。対象は自営業・フリーランス・学生などの国民年金第1号被保険者と、65歳未満の任意加入被保険者で、会社員(第2号)や会社員の配偶者(第3号)は納められません。
納めた年数ごとの「払う額」と「もらえる額」
付加年金は定額で、納めた月数だけで決まります。払った期間が短くても長くても、元が取れるまでの期間は同じ2年です。
| 付加保険料を納めた期間 | 払う付加保険料の合計 | 付加年金(年額) | 65歳から受け取った場合の累計が払った額に並ぶ年齢 |
|---|---|---|---|
| 5年(60か月) | 24,000円 | 12,000円 | 67歳 |
| 10年(120か月) | 48,000円 | 24,000円 | 67歳 |
| 20年(240か月) | 96,000円 | 48,000円 | 67歳 |
| 40年(480か月) | 192,000円 | 96,000円 | 67歳 |
40年納めた人が65歳から85歳まで20年間受け取ると、付加年金の累計は192万円で、払った19万2,000円の10倍になります。日本年金機構の例では、令和8年度の定額保険料(月17,920円)を40年納めた人の老齢基礎年金は年847,300円で、付加年金を足すと年943,300円です。
税金を考えると実際の負担はさらに軽い
付加保険料は国民年金保険料と同じく社会保険料控除の対象です。所得税の税率が10%(復興特別所得税を含めて10.21%)で住民税が10%の人なら、年4,800円の付加保険料で所得税・住民税があわせて約970円減り、実質の負担は年3,800円台になります。
一方で、受け取る付加年金は老齢基礎年金と合わせて公的年金等の雑所得として課税の対象になります。ただし公的年金等控除などがあるため、年金収入が少ない人は税がかからないことも多く、払うときに控除を受けて受け取るときは非課税に近い、という形になりやすい制度です。フリーランスの手取り計算で、社会保険料控除を入れたときの税額の変化も確かめられます。
付加保険料の注意点:物価で増えない・早く亡くなると下回る
付加年金は定額で、物価スライドがありません。老齢基礎年金は物価や賃金に応じて毎年度改定されますが、付加年金の「200円×月数」は何十年たっても同じ金額です。物価が上がり続けると、受け取るときの実質的な価値は目減りします。
また、付加年金は終身でもらえる一方、本人が亡くなると支給は止まり、遺族に引き継がれる部分はありません。受け取り始めて2年たたずに亡くなった場合は、払った額を下回ります。
手続き面では、納付は申し出た月の分からで、さかのぼって納めることはできません。申し出た後の月の分なら、納付期限(翌月末)から2年間は後から納められます。国民年金保険料の全額免除・一部免除・納付猶予・学生納付特例を受けている月は付加保険料を納められません(産前産後の免除期間は納められます)。
iDeCo・国民年金基金との関係
自営業・フリーランスが老後の年金を上乗せする方法は主に3つあり、組み合わせに制限があります。
| 制度 | 付加保険料との併用 | 特徴 |
|---|---|---|
| 付加保険料(付加年金) | — | 月400円の定額。受け取りは年200円×月数で、運用の結果に左右されない |
| 国民年金基金 | できない(加入員は付加保険料を納められない) | 選んだ掛金に応じて年金を上乗せする。付加保険料の代わりに選ぶ形になる |
| iDeCo(個人型確定拠出年金) | できる(拠出限度額の枠を分け合う) | 掛金は全額所得控除。受け取り額は運用の結果で変わる |
第1号被保険者のiDeCoの拠出限度額は月68,000円で、付加保険料や国民年金基金の掛金を納めている場合はその分を差し引いた額が上限です。厚生労働省によると、この限度額は2026年12月分の掛金から月75,000円に引き上げられます。iDeCoの掛金を上限近くまで出す人は、付加保険料との合計が枠に収まるかを運営管理機関(申し込んだ金融機関)に確かめる必要があります。iDeCoの節税効果はiDeCo・ふるさと納税で手取りは増えるのかで数字を出しています。
付加保険料の申し込みとやめ方
申し込みは、住んでいる市区町村役場の国民年金の窓口か年金事務所に「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を出します。電子申請もできます。申し出た日の月の分から納付が始まり、国民年金保険料の納付書・口座振替と一緒に納めます。まとめて前納すると割引があります。
やめるときも同じ申出書を出し、申し出た月の前月までの分で納付が終わります。会社に就職して厚生年金に入ると第1号被保険者でなくなるため、付加保険料の納付も自然に終わります。退職して国民年金に切り替えたときに付加保険料を再開したい場合は、あらためて申し出が必要です。退職後の国民年金の手続きは退職後の国民年金の免除の記事も参考になります。
よくある質問
Q. 会社員でも付加保険料を払えますか?
払えません。対象は国民年金の第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者です。厚生年金に加入している会社員や、その扶養に入っている第3号被保険者は納められません。
Q. 60歳を過ぎてからでも付加保険料は納められますか?
60歳以降に国民年金に任意加入している65歳未満の人は納められます。たとえば任意加入で5年間納めれば、払う額は24,000円、付加年金は年12,000円です。
Q. 過去の分をまとめて払って年金を増やせますか?
申し出る前の月の分はさかのぼって納められません。申し出た後の月の分で納め忘れたものは、納付期限から2年以内なら納められます。
Q. 国民年金基金とどちらがよいですか?
両方には入れないので、どちらか一方を選ぶことになります。付加保険料は月400円で金額が固定、国民年金基金は掛金を自分で選べて上乗せ額も大きくできる、という違いがあります。どちらもiDeCoとは組み合わせられます。
年金の受給額や加入できるかどうかは、加入記録や生年月日によって異なります。個別の状況は年金事務所やねんきんネットで確かめてください。
出典: 日本年金機構 付加保険料の納付、日本年金機構 付加年金、日本年金機構 国民年金保険料、厚生労働省 iDeCoの概要、厚生労働省 2026年12月からiDeCoがパワーアップ!制度改正の3つのポイント、国税庁 No.1130 社会保険料控除