国民健康保険料は年末調整で控除できる?家族の分の書き方と証明書がいらない理由【2026年分】
国民健康保険料(国民健康保険税)は、自分の分でも、生計を一にする家族の分でも、自分が払った額を年末調整で全額控除できます。書くのは保険料控除申告書の「社会保険料控除」の欄で、国民年金保険料と違って控除証明書や領収書の添付はいりません。年収400万円の会社員(東京都・40歳未満・扶養なし・2026年分)が家族の国保料を年20万円払って控除すると、所得税が約1万200円戻り、2027年度の住民税が約2万円減ります。
ただし、親の年金から天引きされている国保料は、払っているのが親本人なので子の控除には使えません。この記事では、国税庁と市区町村の案内をもとに、控除できる人・できない人、申告書の書き方、転職した年の扱い、戻る金額の目安を整理します。
家族の国保料を控除できるのは「実際に払った人」
社会保険料控除は、自分または生計を一にする配偶者や親族が負担することになっている社会保険料を、自分が払った場合に受けられます(国税庁 No.1130)。国保料は世帯主に請求されるしくみで、世帯主が会社の健康保険に入っていても、同じ世帯に国保の加入者がいれば世帯主あてに納入通知が届きます(横浜市・川崎市の案内)。たとえば会社員の子が世帯主で、同居する60代の親が国保に入っている場合、届いた国保料を子が払えば子の控除になります。
判断に迷いやすいケースを表にまとめます。
| ケース | 控除できる人 |
|---|---|
| 同居する親の国保料を、会社員の子が納付書や口座振替で払った | 払った子 |
| 退職して国保に入った配偶者の分を、会社員の夫・妻が払った | 払った夫・妻 |
| 親の公的年金から国保料が天引き(特別徴収)されている | 年金を受け取る親本人(子は控除できない) |
| 別居している親の国保料を仕送りとは別に払った | 生計を一にしていれば払った子。生計が別なら控除できない |
年金からの天引きは、国税庁の案内で年金を受け取る人が払ったものとして扱われます。一方、同じ保険料でも子が口座振替などで自分で払った分は子の控除の対象になるため、市区町村に申し出て天引きから口座振替に変えられる場合は、支払い方法で控除できる人が変わります。後期高齢者医療保険料や介護保険料の天引きも同じ考え方です。
保険料控除申告書の書き方と、払った額の数え方
令和8年分の給与所得者の保険料控除申告書では、社会保険料控除の欄に次の4つを書きます。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 社会保険の種類 | 国民健康保険 |
| 保険料支払先の名称 | ○○市(国保に入っている市区町村) |
| 保険料を負担することになっている人(氏名・続柄) | 国保に入っている家族の名前と続柄(例: 母)。自分の分なら本人 |
| あなたが本年中に支払った保険料の金額 | 1月1日〜12月31日に実際に払った合計額 |
金額は「何年度分の保険料か」ではなく、その年の1月から12月に払った日で数えます。国保料は多くの市区町村で6月から翌年3月までの年10回払いのため、2026年中に払うのは2025年度分の1〜3月の納期と、2026年度分の6〜12月の納期が中心になります。納付書なら領収書の日付、口座振替なら通帳の引き落とし日で合計するのが確実です。12月の納期を1月に払った場合、その分は翌年の控除になります。
市区町村から1年分の納付額を知らせる通知が届くこともありますが、時期はばらばらです。横浜市は1月下旬ごろに世帯主あてに送っており、年末調整には間に合いません。大阪市は年末調整で書く額について、年末までに払う予定の分を含めてよいと案内しています。証明書の添付は不要なので、金額を正しく数えて書けば手続きは終わりです。
退職・転職した年は自分の国保料も書く
年の途中で退職して国保に入り、その後に転職した人は、転職先の年末調整で、国保に入っていた期間に自分で払った国保料を書けます。前の会社の給与から引かれた健康保険料は前職の源泉徴収票に入っているので書きませんが、国保に切り替えてから払った分は会社が把握していないためです。任意継続の健康保険料や国民年金保険料を払っていた場合も、同じ欄に並べて書きます。
国民年金保険料の書き方と控除証明書の扱いは年末調整の国民年金保険料の書き方、退職後に国保・任意継続・家族の扶養のどれに入るかは任意継続と国民健康保険はどっちが安い?と退職後に家族の扶養に入れる?にまとめています。
なお、2026年度(令和8年度)から国保料には子ども・子育て支援金の分が加わりました。こども家庭庁の案内では、国保の加入者の支援金の額は市区町村の条例で所得などに応じて決まり、保険料と一緒に納めます。支援金の分も国保料の一部として払うので、控除の欄に書く金額に含めます。
年末調整でいくら戻る?年収別の目安
社会保険料控除は所得控除なので、戻る税金は「控除額×税率」で決まります。サイトの計算機で、東京都・40歳未満・扶養なし・2026年分の条件で、年20万円の国保料を控除した場合の差を出すと次のとおりです(住民税は2027年度分が減ります)。
| 年収 | 所得税(年末調整で戻る) | 住民税(翌年度に減る) | 合計 |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 約10,200円 | 約20,000円 | 約30,200円 |
| 600万円 | 約20,400円 | 約20,000円 | 約40,400円 |
住民税の所得割は税率が一律10%なので、年収による差はあまり出ません。所得税は税率が上がるほど戻る額が増えます。自分の年収での還付の目安は年末調整の還付金シミュレーター、例に近い年収なら年収400万円の年末調整の還付金や年収600万円の年末調整の還付金で確かめられます。申告書のほかの欄は年末調整で何を提出する?を参考にしてください。
よくある質問
Q. 親を税法上の扶養に入れていなくても、親の国保料を控除できますか?
できます。社会保険料控除の条件は扶養控除の対象かどうかではなく、生計を一にしているかどうかと、自分が払ったかどうかです。親の年金収入が多く扶養控除の対象にならない場合でも、生計を一にして国保料を払っていれば控除の対象になります。
Q. 国保料の領収書をなくしました。年末調整に出す必要はありますか?
国保料は添付が不要なので、金額がわかれば申告書に書くだけで済みます。金額がわからないときは、市区町村の国保の窓口で納付額を確かめられます。
Q. 年末調整で書き忘れたら、もう戻らないのですか?
翌年の確定申告で社会保険料控除を足せば戻ります。会社によっては、年明けの一定の時期まで年末調整のやり直しに応じてくれる場合もあります。
この記事は一般的なしくみの解説です。生計を一にしているかどうかの判断や国保料の支払方法の変更は、勤務先の担当者、税務署、お住まいの市区町村の国保の窓口にご確認ください。
出典: 国税庁 No.1130 社会保険料控除、国税庁 確定申告の手引き 社会保険料控除、国税庁 A2-3 給与所得者の保険料控除の申告、大阪市 年末調整や確定申告にかかる社会保険料控除のお知らせ、横浜市 国民健康保険料は誰が納めるのですか、横浜市 国民健康保険料の「年間納付額のお知らせ」はいつ頃とどくのか、横浜市 保険料について、川崎市 保険料の納付義務者は、世帯主です、こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について