国税庁は、2027年(令和9年)に支払う給与から使う「令和9年分 源泉徴収税額表」を公表しています。表紙には「令和9年1月から源泉徴収税額表が変わります」とあり、毎月の給与から引かれる所得税の額が変わります。変わる点は大きく2つです。

  • 毎月の所得税が少し下がる:基礎控除(年62万円)と給与所得控除の最低額(年69万円)の引き上げが、毎月の源泉徴収に入ります。サイトの計算では、月給15万〜80万円の例で月170〜680円ほど下がります。
  • 防衛特別所得税ができる:所得税の1%の防衛特別所得税が新しくでき、復興特別所得税は2.1%から1.1%に下がります。合計は2.1%のままなので、これで税額は変わりません。

税額表の表紙は、扶養親族等の合計所得金額の要件(58万円→62万円)が変わったことにも触れていますが、この変更は令和8年分からで、源泉徴収では2026年12月1日以後に支払う給与からすでに使われています。

毎月の所得税は月給ごとにいくら下がる?

国税庁の「電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法」(月額表の甲欄の電算機計算の特例)の令和8年分と令和9年分で、毎月の所得税を計算して比べると次のとおりです(独身・扶養なし・40歳未満・協会けんぽ東京の社会保険料を引いた後の給与で計算)。

月給(総支給)2026年の毎月の所得税2027年1月から月の差年の差
15万円1,300円960円−340円−4,080円
20万円3,290円3,120円−170円−2,040円
25万円4,760円4,590円−170円−2,040円
30万円6,340円6,170円−170円−2,040円
40万円10,780円10,440円−340円−4,080円
50万円17,870円17,530円−340円−4,080円
60万円30,120円29,440円−680円−8,160円
80万円63,080円62,400円−680円−8,160円

下がる額は、毎月の基礎控除が月48,334円から51,667円に増えた分(月3,333円)に、その人の税率をかけた額がもとになっています。税率5%の区分なら約170円、10%なら約340円、20%なら約680円です。月給15万円ほどの人は給与所得控除の最低額も月54,167円から57,500円に上がるので、もう少し下がります。会社が使う月額表は金額を区切った表なので、電算機計算と数十円違うことがあります(たとえば令和9年分の月額表で、社会保険料を引いた後の給与が25万4,000円以上25万7,000円未満・扶養なしの欄は6,160円です)。

基礎控除の上乗せ分は、2027年も年末調整で戻る

2026年分から所得税の基礎控除は最大104万円になりましたが、令和9年分の電算機計算の表を見ると、毎月の源泉徴収で使う基礎控除は月51,667円(年62万円)、給与所得控除の最低額は月57,500円(年69万円)です。これは所得税法の本来の額(本則)で、租税特別措置法による上乗せ分(基礎控除の42万円・5万円の加算と、給与所得控除の5万円)は毎月の表に入っていません。

そのため2027年も、基礎控除の上乗せがある人(合計所得655万円以下、給与だけなら年収およそ850万円以下)は、毎月の所得税が1年分の税額より多めに引かれ、上乗せ分は2027年12月の年末調整でまとめて戻るしくみが続きます(104万円になるのは合計所得489万円以下の人、給与所得控除の5万円の上乗せは年収およそ220万円未満の人です)。毎月の所得税が下がる分(月給15万〜80万円の例で年2,000〜8,000円ほど)だけ、2027年の年末調整で戻る額は2026年より小さくなります。2026年の年末調整でいくら戻るかは年末調整の還付金計算で、基礎控除の区分は基礎控除は2026年分いくらで確かめられます。

防衛特別所得税とは

令和8年度の税制改正で防衛特別所得税が創設され、2027年1月1日以後に生ずる所得に適用されます。国税庁の「源泉所得税の改正のあらまし」によると、源泉徴収をする会社は所得税を徴収するときに、所得税の額の1%の防衛特別所得税をあわせて徴収します。同時に、復興特別所得税の税率は2.1%から1.1%に引き下げられ、課税期間は2037年(令和19年)12月31日までから、2047年(令和29年)12月31日までに10年延びました。

国税庁は、改正の前後で合計税率(2.1%)に変更はないので、源泉徴収税額の計算方法は変わらないとしています。令和9年分の税額表の金額には、防衛特別所得税と復興特別所得税の分が含まれていて、年末調整も「年調所得税額×102.1%」で行います。給与を受け取る人の手取りは、防衛特別所得税ができたことでは変わりません。所得税の計算の手順は所得税の計算方法にまとめています。

給与を受け取る人がすること

新しい税額表を使って計算するのは会社なので、給与を受け取る人の手続きは要りません。2027年1月以後に支払われる給与から新しい表が使われるので、1月の給与明細の所得税の欄を、年末調整の入らない11月以前の明細と比べると、少し下がっているかを確かめられます。扶養する家族が増えた・減ったなどの変更があれば、いつもどおり扶養控除等(異動)申告書で会社に伝えます(扶養控除等申告書の書き方)。

よくある質問

Q. 2027年1月から手取りはどのくらい増える?
所得税の分だけなら、独身・扶養なしで月給およそ20万〜36万円は月170円ほど、37万〜52万円は月340円ほど、53万〜90万円は月680円ほどで、それより月給が高いと下がる額はもう少し大きくなります。社会保険料の料率が変わる年度替わり(3月・4月分)や、住民税が変わる6月にも手取りは動きます。

Q. 賞与から引かれる所得税も変わる?
2027年に支払う賞与には、令和9年分の税額表にある「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」が使われます。率は前月の給与と扶養の人数で決まります(ボーナスの所得税が高いのはなぜ)。

この記事は、2026年11月時点で国税庁が公表している令和9年分の源泉徴収税額表と「源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)」をもとにした説明です。毎月の所得税の金額は、電算機計算の特例による概算で、会社が使う月額表とは数十円違うことがあります。

出典: 国税庁 令和9年分 源泉徴収税額表、国税庁 令和9年分 源泉徴収税額表(表紙)、国税庁 電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法(令和9年分)、国税庁 給与所得の源泉徴収税額表(令和9年分)月額表、国税庁 源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)