所得税の計算方法|税率と速算表、年収500万円の計算例と年収別の税額【2026年分】
会社員の所得税は、①年収から給与所得控除を引いて給与所得を出す、②社会保険料や基礎控除などの所得控除を引いて課税所得を出す、③課税所得に税率をかける、④復興特別所得税(2.1%)を足す、の4段階で計算します。2026年分(令和8年分)は基礎控除が最大104万円、給与所得控除の最低額が74万円に上がったので、多くの人は前年と同じ年収でも課税所得が小さくなり、所得税が減ります。
この記事では、国税庁の速算表と、年収500万円・独身の会社員の計算例で手順を1つずつ示し、最後に年収別の所得税の目安をまとめます。数字はサイトの計算機(40歳未満・協会けんぽ東京の料率)による2026年分の概算です。
手順1 年収から給与所得を出す
会社員の年収(給与の収入金額)は、そのまま所得税がかかる金額ではありません。働くための経費の代わりとして、年収に応じた「給与所得控除」を差し引いた残りが給与所得です。2026年分の給与所得控除は次のとおりです(国税庁 No.1410)。
| 年収(給与の収入金額) | 給与所得控除 |
|---|---|
| 220万円以下 | 74万円(2026年分の最低額) |
| 220万円超360万円以下 | 年収×30%+8万円 |
| 360万円超660万円以下 | 年収×20%+44万円 |
| 660万円超850万円以下 | 年収×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円 |
年収500万円なら、給与所得控除は500万円×20%+44万円=144万円で、給与所得は356万円です。2026年分は最低額が74万円になったので、年収がおよそ220万円以下の人は「年収−74万円」が給与所得になります(年収220万円超660万円未満は、国税庁の表で4,000円刻みに丸めた金額を使うため、式と数千円ずれることがあります)。くわしくは給与所得控除は2026年分いくらで説明しています。
手順2 所得控除を引いて課税所得を出す
給与所得から、社会保険料控除・基礎控除・配偶者控除・扶養控除・生命保険料控除などの所得控除を差し引くと、課税所得(課税される所得金額)になります。1,000円未満は切り捨てます。
- 社会保険料控除:その年に払った健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などの全額(国税庁 No.1130)。2026年4月分から始まった子ども・子育て支援金も、健康保険料の一部として集められるため含めて計算しています。
- 基礎控除:2026年分は合計所得489万円以下なら104万円、655万円以下なら67万円、2,350万円以下なら62万円(国税庁 No.1199・基礎控除は2026年分いくら)。
- 家族や保険の控除:配偶者控除(一般38万円・70歳以上48万円)、16歳以上の扶養控除(38万円、19〜22歳は63万円)、生命保険料控除(最高12万円)など。
年収500万円・独身の例では、社会保険料が734,500円(健康保険料246,250円・子ども・子育て支援金5,750円・厚生年金保険料457,500円・雇用保険料25,000円。支援金は1年分で計算した概算)、基礎控除が104万円で、所得控除の合計は1,774,500円です。課税所得は3,560,000円−1,774,500円=1,785,500円で、1,000円未満を切り捨てて1,785,000円になります。
手順3 速算表で税率をかける
所得税は、課税所得が多いほど高い税率がかかる累進課税です。国税庁の速算表では、課税所得に税率をかけて控除額を引くと税額が出ます(国税庁 No.2260)。
| 課税所得 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
| 1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
| 3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
| 6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
| 9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
| 18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
| 40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
控除額は、課税所得の全部に高い税率がかかるわけではないことを1行で計算するための数字です。たとえば課税所得400万円なら、195万円までは5%、195万円超330万円までは10%、330万円超の70万円だけが20%で、合計は「400万円×20%−427,500円=372,500円」と同じになります。年収500万円の例は課税所得1,785,000円で5%の区分なので、1,785,000円×5%=89,250円です。
手順4 税額控除を引き、復興特別所得税を足す
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)や配当控除などの税額控除がある人は、手順3の税額から差し引きます。最後に、その税額の2.1%の復興特別所得税を足し(1.021倍し)、100円未満を切り捨てた額が1年分の所得税です。
年収500万円の例では、89,250円×1.021=91,124円で、100円未満を切り捨てて所得税は年91,100円になります。年収に対する割合は約1.8%です。
年収別の所得税の目安(2026年分)
同じ手順で年収ごとに計算すると、次のようになります(独身・扶養なし・40歳未満・協会けんぽ東京・給与収入だけ・ほかの控除なしの概算)。
| 年収 | 課税所得 | 税率 | 所得税(年) |
|---|---|---|---|
| 200万円 | 0円 | — | 0円 |
| 300万円 | 539,000円 | 5% | 27,500円 |
| 400万円 | 1,132,000円 | 5% | 57,700円 |
| 500万円 | 1,785,000円 | 5% | 91,100円 |
| 600万円 | 2,438,000円 | 10% | 149,300円 |
| 700万円 | 3,501,000円 | 20% | 278,400円 |
| 800万円 | 4,254,000円 | 20% | 432,100円 |
| 1,000万円 | 6,025,000円 | 20% | 793,800円 |
| 1,200万円 | 7,914,000円 | 23% | 1,209,000円 |
| 1,500万円 | 10,748,000円 | 33% | 2,053,000円 |
年収600万円と700万円で所得税が13万円近く違うのは、基礎控除が104万円から67万円に下がる境目(合計所得489万円・年収約665万円)をまたぎ、税率も10%から20%に上がるためです。税率が上がっても、高い税率がかかるのは区分を超えた部分だけなので、税率が上がること自体で手取りが減ることはありません(基礎控除などが下がる境目や、社会保険料の等級が上がる境目の近くでは、年収が少し増えて手取りが減ることがあります。くわしくは限界税率と実効税率の違い)。ほかの年収や扶養・賞与の条件は、手取り計算や年収500万円の手取りのような年収別のページで確かめられます。
毎月の給与から引かれる所得税との関係
会社員の所得税は、毎月の給与や賞与から「源泉徴収」として前払いし、12月の年末調整で1年分の税額との差を精算します。毎月の額は国税庁の源泉徴収税額表で決まる見込みの金額なので、1年分の税額とはずれが出ます。2026年分は、基礎控除などの引き上げが毎月の源泉徴収に入っていないため(11月までの源泉徴収は変わらない)、年末調整で戻る額が例年より多くなる人がいます。年末調整でいくら戻るかは年末調整の還付金計算、戻る時期は年末調整の還付金はいつ戻るで確かめられます。
よくある質問
Q. 2026年分は年収いくらまで所得税がかからない?
給与だけで、社会保険料などほかの控除がなければ、年収178万円(給与所得控除74万円+基礎控除104万円)までは課税所得が0円で、所得税はかかりません。社会保険料を払っている人は、その分さらに高い年収まで0円です。
Q. 住民税も同じ計算?
住民税も「給与所得−所得控除=課税所得」までは似ていますが、基礎控除が43万円、配偶者控除・扶養控除が33万円など控除額が小さく、税率は一律10%です。その年の所得にかかる住民税が、翌年6月から翌々年5月まで天引きされます。
Q. 副業の所得があるときは?
副業の所得も給与所得と合計して課税所得を出すので、合計した所得に応じた税率がかかります。給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が要らない場合がありますが、住民税の申告は必要です(副業20万円以下なら申告不要?)。
この記事の数字は、2026年11月時点の国税庁の資料と、サイトの計算機(2026年分の税制・協会けんぽ東京の料率)による概算です。給与以外の所得や、医療費控除・寄附金控除などがある場合は課税所得が変わります。
出典: 国税庁 No.2260 所得税の税率、国税庁 No.1199 基礎控除、国税庁 No.1410 給与所得控除、国税庁 No.1130 社会保険料控除、国税庁 令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について