11〜12月の年末調整の時期に扱う「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は2種類です。今年分の令和8年分は年の初めに出したものの確認・訂正用で、2026年分の年末調整に使います。来年分の令和9年分は、2027年1月から毎月の給与で引かれる所得税の計算に使う新しい1枚です。国税庁は令和9年分の様式と記載例をすでに公開していて(2026年11月6日に確認)、欄の並びは令和8年分と同じまま、裏面に書かれた所得の基準が改正後の数字に変わっています。提出期限は2027年の最初の給与を受け取る日の前日までです。

誰をどこに書くかの結論は次のとおりです。配偶者(2027年の所得の見積額95万円以下=給与だけなら年収169万円以下)はA欄、16歳以上の扶養親族(所得62万円以下=年収136万円以下)と、19〜22歳で年収136万円超174万円以下の子はB欄、本人や家族が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に当たるときはC欄、家族のだれかを配偶者など別の稼ぎ手の扶養にするときはD欄、16歳未満の子は下段の「住民税に関する事項」です。扶養する家族がいない人は、いちばん上の氏名・住所などの欄だけを書いて出します。

令和8年分と令和9年分、2枚の申告書の違い

項目令和8年分令和9年分
使い道2026年分の年末調整2027年1月からの毎月の源泉徴収
年齢を数える日2026年12月31日2027年12月31日
裏面に印刷された扶養親族の基準所得58万円以下(給与123万円以下)=改正前の数字所得62万円以下(給与136万円以下)
年末にすること家族の状況や見積額が変わっていれば直す新しく書く(前年と変わらなければ簡易な申告書も可)

令和8年分の用紙の裏面には、改正前の基準「58万円以下」が印刷されています。改正で扶養親族などの所得要件は62万円以下に上がり、2026年分は12月の年末調整でこの新しい基準が使われます。国税庁の令和8年分の記載例は、改正によって新しく扶養親族などに当たる家族ができた人に、その家族を書いた申告書を出すよう呼びかけています。年の初めに出した申告書を直すか、別に異動申告書を出す形です。

たとえば、2026年の年収が130万円になる17歳の子や、年収130万円で働く25歳の子は、年の初めの基準では扶養から外れていましたが、2026年分は扶養親族に当たります。サイトの計算機で、月給30万円(年収360万円・東京都・40歳未満)の親がこの子を書き足した場合を出すと、扶養控除38万円で2026年分の所得税が19,400円、住民税の控除33万円で2027年度の住民税が約3.3万円少なくなります(概算。所得によっては調整控除も増え、もう少し多く下がります)(住民税も2026年の所得から扶養親族の要件が62万円以下になっています)。

いちばん上の欄:氏名・住所・世帯主

上の段には、勤務先の名称と所在地、自分の氏名・生年月日・マイナンバー・住所を書きます。「給与の支払者の法人(個人)番号」は勤務先が書く欄なので空けておきます。「所轄税務署長等」は勤務先の所在地の税務署と、自分が住む市区町村の名前です。「世帯主の氏名」と「あなたとの続柄」は、自分が世帯主なら自分の名前と「本人」、父が世帯主なら父の名前と「父」のように書きます。「配偶者の有無」は有・無のどちらかに○を付けます。

右端の「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」は、ほかの勤め先にも別の様式の「従たる給与についての扶養控除等申告書」を出している人だけが○を付ける欄です。扶養控除等申告書そのものは、給与をもらう勤め先のうち1か所にしか出せません。

A欄・B欄:毎月の源泉徴収で数える配偶者と家族

A欄(源泉控除対象配偶者)に書けるのは、自分の2027年の合計所得金額の見積額が900万円以下(給与だけなら年収1,095万円以下、所得金額調整控除を受ける人は1,110万円以下)で、配偶者の見積額が95万円以下の場合です。夫婦がお互いを書くことはできません。注意したいのは、年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を受けるには、A欄に書いたかどうかに関係なく、別の「配偶者控除等申告書」(基礎控除申告書と1枚になった様式)が要る点です。控除額の区切りは配偶者控除・配偶者特別控除はいくらまで?で整理しています。

B欄(源泉控除対象親族)には、平成24年1月1日以前に生まれた16歳以上の扶養親族と、19〜22歳で所得の見積額が62万円超100万円以下の「特定親族」を書きます。B欄に特定親族を書いても、年末調整で特定親族特別控除を受けるには、配偶者と同じように別の「特定親族特別控除申告書」を出します。令和9年分で使う生年月日の区切りは次のとおりです。

2027年12月31日の年齢生年月日書く欄とチェック所得の見積額(給与だけの年収)
16歳未満平成24年1月2日以後住民税に関する事項―
16〜18歳、23〜69歳昭和33年1月2日〜平成24年1月1日(19〜22歳を除く)B欄62万円以下(136万円以下)
19〜22歳平成17年1月2日〜平成21年1月1日B欄「特定扶養親族」62万円以下(136万円以下)
19〜22歳同上B欄「特定親族」62万円超100万円以下(136万円超174万円以下)
70歳以上昭和33年1月1日以前B欄「同居老親等」か「その他」62万円以下(年金だけなら65歳以上で172万円以下)

70歳以上の親などは、自分か配偶者の父母・祖父母で、いつも同居していれば「同居老親等」、それ以外は「その他」にチェックします。19〜22歳で年収が174万円を超え197万円以下になりそうな子はB欄には書きませんが、年末調整のときに「特定親族特別控除申告書」で控除を受けられます(金額は特定親族特別控除とは)。A欄・B欄に書いた人数に、本人やC欄の該当を足した数が「扶養親族等の数」となり、2027年分の源泉徴収税額表で毎月の税額を出すときに使われます。

C欄・D欄:障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生と、ほかの人が控除する家族

C欄は、本人、所得62万円以下の配偶者(同一生計配偶者)、扶養親族のうちに障害者がいるときにチェックを付け、人数を書く欄です。ここでいう扶養親族には16歳未満の子も含まれます。右の「障害者又は勤労学生の内容」には、障害者手帳の種類と交付日、等級などを書きます。特定親族は扶養親族に当たらないため、障害者控除の対象にはなりません。本人が寡婦・ひとり親に当たる場合(合計所得金額500万円以下、給与だけなら677万7,778円以下)や、勤労学生に当たる場合(所得89万円以下=給与だけなら163万円以下で、給与など以外の所得が10万円以下)もここにチェックします。勤労学生は、学校名と入学年月日、2027年の所得の種類と見積額も書きます。

D欄は、同じ家計に稼ぎ手が2人以上いて、家族の一部を配偶者などほかの人の扶養にするときに、その家族の氏名と、控除を受ける人の氏名・続柄・住所を書く欄です。国税庁の質疑応答事例では、共働きの夫婦が子を1人ずつ分けて扶養にすることも、重複しない限り差し支えないとされています。同じ子を夫婦の両方の申告書に書くことはできません。

住民税に関する事項:16歳未満の子と退職金を受け取る家族

16歳未満の子は所得税の扶養控除の対象ではありませんが、下段の「住民税に関する事項」に書きます。この欄は、勤務先を通じて市区町村に出す「給与所得者の扶養親族等申告書」を兼ねていて、練馬区の案内では、住民税が非課税になるかの判定で数える扶養親族に16歳未満の子も含まれます。国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」にも、今後所得に連動した給付が導入される場合にこの欄の情報を使う見込みだという内閣官房のお知らせが載っています。子が海外に住んでいるときは「控除対象外国外扶養親族」に○を付けます。

その下の「退職手当等を有する配偶者・扶養親族・特定親族」は、家族が2027年に源泉徴収される退職金を受け取る見込みのときに書く欄です。配偶者は、退職所得を除いた所得の見積額が133万円以下の人が対象です。住民税では扶養の判定に退職所得を含めないため、所得税とは別にこの欄で伝えます。

簡易な申告書と、よくある書き間違い

2026年に同じ勤務先へ出した申告書から何も変わらない人は、勤務先の指示があれば、氏名・住所・マイナンバーを書いて「異動がない」ことを示す簡易な申告書を出せます。国税庁は令和9年分用に「前年の申告内容からの異動 なし」のチェック欄がある様式も用意しています。ただし国税庁のFAQでは、家族が2027年に16歳・19歳・23歳・70歳になって区分が変わる場合や、前年に書いた家族が対象から外れる場合は「異動あり」となり、簡易な申告書は使えません。一方、扶養親族の所得の見積額が62万円以下の範囲で動いただけなら、異動がないものとして扱ってよいとされています。比べる相手は同じ勤務先に前年出した申告書なので、勤務先を変えたばかりの人はふつうの書き方で出します。

書き間違いが多いのは次の点です。

  • 「所得の見積額」に年収を書いてしまう。給与だけなら年収から給与所得控除を引いた額で、2027年も年収220万円以下なら74万円を引きます(年収100万円なら26万円)。
  • 19〜22歳で年収136万円を超える子に「特定扶養親族」のチェックを付ける。正しくは「特定親族」で、174万円を超えるならB欄には書きません。
  • 16歳未満の子をB欄に書く。住民税に関する事項に書きます。
  • 共働きの夫婦が同じ子を両方の申告書に書く。どちらか一方にして、もう一方のD欄に書きます。
  • 年の途中で家族が就職・結婚して基準を超えたのに直さない。国税庁は、こうした異動があればその都度申告するよう求めています。

扶養の年齢の数え方は扶養控除は子どもが何歳から?、ほかの2枚の申告書も含めた年末調整の全体像は年末調整で何を提出する?で説明しています。扶養の人数を入れて12月に戻る額を試算するなら年末調整の還付金シミュレーションが使えます。

よくある質問

Q. 扶養家族がいない独身でも出す?
出します。いちばん上の欄だけ書けば足ります。国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」では、この申告書を出していない人は月額表の乙欄で源泉徴収される扱いで、年末調整の対象にもなりません。

Q. マイナンバーは毎年書かないといけない?
本人や家族のマイナンバーを書く欄がありますが、勤務先がマイナンバーなどを記した一定の帳簿を備えている場合は、書かなくてよいとされています。省略できるかは勤務先に確かめてください。

Q. 年末調整のあとで家族の年収が見込みより増えたら?
扶養に当たるかは、年末調整をする日の見積もりで判定します。年末調整のあとに扶養の人数が変わったときは、勤務先は源泉徴収票を交付する翌年1月末日まで年末調整をやり直せるので、わかった時点で申し出ます。

申告書の様式や所得の基準は、税制改正で変わることがあります。記入に迷うときは、勤務先の担当部署または税務署にご確認ください。住民税に関する事項はお住まいの市区町村にお尋ねください。

出典: 国税庁 各種申告書・記載例(年末調整)、国税庁 令和9年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、国税庁 令和9年分 扶養控除等申告書の記載例、国税庁 令和9年分 扶養控除等(異動)申告書(簡易対応様式)、国税庁 簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ、国税庁 令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、国税庁 令和8年分 扶養控除等申告書の記載例、国税庁 源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月)、国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(年末調整とは)、国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(扶養控除等申告書の受理と確認)、国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(年末調整の再調整)、国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(令和9年分の給与の源泉徴収事務)、国税庁 質疑応答事例 2以上の所得者がいる場合の扶養親族等の所属、練馬区 住民税が課税されない場合、練馬区 人的控除(住民税)、中央区 令和9年度から適用される個人住民税の主な改正