退職を決めたら、最初にやるべきは有給休暇の残日数の確認です。有給1日は手取り換算で1〜2万円の価値があり、20日残っていれば20〜40万円分。放棄するにはあまりに大きい金額です。

残日数の確認と権利の整理

残日数は給与明細か勤怠システム、なければ人事に照会します。有給は入社6ヶ月(全労働日の8割以上出勤)で10日、以後勤続に応じて最大年20日付与され、権利は2年間で時効になるため未使用分は翌年まで繰り越せます。そのため最大40日残っている人もいます。取得は労働者の権利です。退職日を過ぎると有給の権利は消えるので、退職前にまとめて使う申請には会社は「時季変更権」(別の日に変えてもらう権利)を行使できず、認めるほかないとされています。

逆算スケジュールの作り方

基本形は「最終出社日→有給消化期間→退職日」です。例えば有給が20日(約4週間分)残っているなら、退職日を9月30日にして、9月頭に最終出社、以降は有給消化のまま在籍、という組み方になります。この期間も社会保険は在籍扱いなので、月末退職にして社会保険を切らさない設計と組み合わせるのが定石です。引き継ぎ資料を先に仕上げておくと、消化交渉が圧倒的に通りやすくなります。

有給が40日残っているときの退職日の決め方

勤続6年6か月以上で毎年20日ずつ付与され、前年の分を1日も使っていなければ、時効前の2年分で最大40日が残ります。週5日勤務なら40日は約8週間、暦の上ではおよそ2か月です。最終出社日から数えて土日・祝日を除いた40日目の後に退職日を置くと、すべて消化できます。

残っている日数週5日勤務での週数最終出社日から退職日までの目安
10日2週間約半月
20日4週間約1か月
30日6週間約1か月半
40日8週間約2か月(祝日があればその分のびる)

たとえば12月末に退職したい人が40日残っているなら、最終出社日は10月の下旬ごろになります。引き継ぎの期間も入れると、退職の申し出は9月中が現実的な線です。40日分は金額も大きく、月給30万円・月21日勤務の人が「所定労働時間働いたときの通常の賃金」で支払われるなら、1日あたり額面約1.4万円、40日で約57万円になります。有給の日の賃金は、平均賃金・通常の賃金・健康保険の標準報酬月額の30分の1のどれかで払うと決まっていて(標準報酬月額の方式は労使協定が必要)、どれを使うかは就業規則で確かめられます。

消化中は会社に在籍しているので、給与から社会保険料・住民税も今までどおり引かれます。2か月近く在籍が延びるぶん、退職日を月末にするか月の途中にするかで保険料の扱いが変わる点は退職は何月がいいかの記事で確かめてください。

買い取りは「原則禁止・退職時は例外」

有給の買い取りは労働者の休む権利を損なうため原則として認められないと解されていますが、退職時に消化しきれない分を会社が任意で買い取ることは、休む機会を奪うことにならないため問題ないと一般に考えられています。ただし買い取りは会社の義務ではないので、確実なのはあくまで消化。交渉の順番は「全消化させてください→難しいなら残りの買い取りを検討いただけますか」です。

退職代行を使う場合の有給

「言い出せる状況ではない」場合でも、有給が2週間分あれば、退職の意思表示と同時に有給消化に入ることで実質出社ゼロで辞められます。有給消化の交渉ができるのは労働組合系か弁護士の代行だけなので、選び方を間違えないでください。

よくある質問

Q. 有給は40日より多く残ることはありますか?
フルタイムの法定の付与日数は年20日が上限で、使わなかった分は2年で時効になるため、法律どおりなら最大40日です。会社が法定より多く付与している場合や独自の積立制度がある場合は、就業規則の日数が基準になります。

Q. 40日分の有給を使う間も給料は出ますか?
出ます。有給の日は就業規則で決めた方式(平均賃金・通常の賃金・標準報酬月額の30分の1のいずれか)で賃金が支払われ、在籍中なので社会保険料や住民税もそこから引かれます。

Q. 退職日までに使い切れない分はどうなりますか?
退職日を過ぎると権利は消えます。会社が任意で買い取ってくれることはありますが義務ではないため、残日数から逆算して退職日を決めておくと取りこぼしが出ません。

消化した有給分も最後の給与として支払われます。最終月の手取りが気になる人は手取り計算で、辞めたあとの家計は辞めたらどうなるシミュレータでどうぞ。

出典: 厚生労働省 確かめよう労働条件「年次有給休暇」、厚生労働省 確かめよう労働条件「年次有給休暇をとる条件は?パート労働者でももらえますか?」、厚生労働省 確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止めなど」、日本年金機構 退職した従業員の保険料の徴収、厚生労働省 スタートアップ労働条件 事業主向けQ&A(年次有給休暇)