年金からも税金や保険料は引かれる?年金生活の手取りの計算方法【2026年分】
結論から言うと、公的年金からも税金と保険料は引かれます。天引きされるのは、所得税(復興特別所得税を含む)、住民税(森林環境税を含む)、介護保険料、そして75歳未満なら国民健康保険料(税)、75歳以上なら後期高齢者医療保険料です。ただし年金には公的年金等控除(65歳以上は最低110万円)があり、会社員の給与より税金はかなり軽くなります。
サイトの計算式で出した目安では、65歳以上・単身・年金以外の収入なしで、年金が年200万円なら所得税は0円、住民税は年約3.5万円です(介護保険料と医療の保険料の合計を年15万円と置いた場合)。保険料を合わせると年金の約1割が引かれ、手取りは年約182万円(月あたり約15.1万円)になります。保険料は市区町村ごとに大きく違うため、下の手順で自分の額に置きかえて計算してください。
年金から天引きされるもの一覧
日本年金機構の案内では、税金と保険料のどれが天引き(特別徴収)されるかは、年齢と年金の額で決まります。主な条件を表にまとめます。
| 引かれるもの | 年金から天引きされる人 | 額を決めるところ |
|---|---|---|
| 所得税・復興特別所得税 | 年金額が源泉徴収の対象額以上の人 | 国(日本年金機構が計算) |
| 住民税・森林環境税 | 65歳以上で、老齢・退職の年金を年18万円以上受け取る人 | 住んでいる市区町村 |
| 介護保険料 | 65歳以上で、年金を年18万円以上受け取る人 | 住んでいる市区町村 |
| 国民健康保険料(税) | 65歳以上75歳未満で国保に入っている人(市区町村の判断による) | 住んでいる市区町村 |
| 後期高齢者医療保険料 | 75歳以上(一定の障害がある人は65歳以上) | 都道府県の広域連合 |
介護保険料と医療の保険料を合わせた額が年金の半分を超えるときは、医療の保険料は天引きされず、納付書や口座振替で払う形になります。また日本年金機構によると、介護保険料と住民税の天引きは本人の希望でやめることはできません。国保と後期高齢者医療の保険料は、市区町村に申し出れば口座振替に変えられる場合があります。
所得税は、2026年分は65歳以上なら年金額が205万円以上、65歳未満なら155万円以上のときに源泉徴収の対象になります。日本年金機構の2026年6月の案内では、この線は2027年分から65歳以上214万円、65歳未満164万円に上がります。線より少ない人は年金から所得税が引かれませんが、住民税や保険料は上の表の条件どおりに引かれます。
年金の手取りの計算は4ステップ
年金の手取りは、次の順で計算できます。毎年6月ごろに届く「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」に、年金額と天引きされる額が載っているので、手元にあれば見比べながら進めるとわかりやすくなります。
ステップ1:年金の所得を出す。年金の収入から公的年金等控除を引いた残りが「公的年金等に係る雑所得」です。国税庁の表では、65歳以上で年金以外の所得が1,000万円以下なら、年金が330万円未満のとき控除は110万円です。65歳未満は年金130万円未満のとき60万円になります。例えば65歳以上で年金200万円なら、所得は200万−110万=90万円です。
ステップ2:保険料を引く。介護保険料と国保(または後期高齢者医療)の保険料は、全額が社会保険料控除になります。所得税と住民税の両方で、所得から差し引かれます。
ステップ3:基礎控除を引いて税金を出す。所得税の基礎控除は、令和8年度税制改正で2026年分は合計所得489万円以下なら104万円になりました。年金200万円・保険料15万円なら、90万−15万−104万はマイナスなので所得税は0円です。住民税の基礎控除は43万円のため、90万−15万−43万=32万円に10%を掛け、調整控除と均等割(森林環境税を含め年5,000円)を足し引きすると、住民税は年約3.5万円になります。
ステップ4:年金から全部を引く。200万−保険料15万−住民税3.45万=手取り約182万円です。住民税は前年の所得で決まるため、2026年の年金にかかる住民税は2027年6月からの年金で引かれます。
年金額別の手取りの目安【2026年分】
同じ手順で、年金額ごとに税金と手取りを出した目安です。条件は、65歳以上・単身(扶養なし)・年金以外の収入なし・住民税は全国標準の税率で、非課税の線は1級地(大都市部)の基準としました。保険料は自治体と所得で大きく変わるため、ここではどの年金額でも年15万円と置いています。
| 年金(年額) | 年金の所得 | 所得税(年) | 住民税(年) | 手取り(年) | 月あたり |
|---|---|---|---|---|---|
| 150万円 | 40万円 | 0円 | 0円 | 約135万円 | 約11.3万円 |
| 200万円 | 90万円 | 0円 | 約3.5万円 | 約182万円 | 約15.1万円 |
| 250万円 | 140万円 | 約1.1万円 | 約8.5万円 | 約225万円 | 約18.8万円 |
| 300万円 | 190万円 | 約3.6万円 | 約13.5万円 | 約268万円 | 約22.3万円 |
年金150万円では、所得40万円が住民税の非課税の線(単身・1級地で合計所得45万円)を下回るため、住民税はかかりません。65歳以上の単身なら、年金だけでおよそ155万円までが非課税の目安です。一方、年金が増えると保険料も所得に応じて上がるのが普通なので、実際の手取りは表より少なくなることがあります。自分の厚生年金の見込み額は厚生年金はいくらもらえる?早見表で確かめられます。
2026年分で変わったこと:12月の年金で税金を精算
令和8年度税制改正で所得税の基礎控除が引き上げられたことを受けて、日本年金機構は2026年12月の年金の支払いのときに、改正後の控除で1年分の所得税を計算し直し、それまでに源泉徴収した額との差を精算すると案内しています。11月までの年金は改正前の控除で源泉徴収されているため、年金から所得税が引かれていた人は、12月の振込で税額が減ったり、引かれすぎた分が戻ったりする場合があります。会社員の年末調整に近いしくみです。
年金にかかる源泉徴収の税率は、日本年金機構によると5.105%(所得税5%に復興特別所得税を加えた率)です。各種の控除を受けるには「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を出しておく必要があり、出していないと配偶者控除や扶養控除が源泉徴収に反映されません。
なお2027年分からは、給与所得控除と公的年金等控除の合計が280万円を超える人について、超えた分を控除から差し引くしくみが始まると財務省が示しています。働きながら年金も受け取る人は、在職老齢年金の2026年4月からの変更とあわせて、給与と年金の両方の額を確かめておくとよいでしょう。給与の手取りは手取り計算機で出せます。
確定申告は必要?年金400万円以下なら原則いらない
国税庁のタックスアンサー(No.1600)では、公的年金等の収入が400万円以下で、全部が源泉徴収の対象であり、年金以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告をしなくてよいとされています。ただし、医療費控除や生命保険料控除などで税金が戻る人は、還付申告をすれば戻ります。また所得税の申告が不要でも、住民税の申告が別に必要な場合があります。
年金を一時金と年金のどちらで受け取るかで税金が変わるiDeCoや企業年金については、iDeCoの受け取り方は一時金と年金どっちが有利?で数字を比べています。
よくある質問
Q. 年金生活でも住民税はかかりますか?
年金の所得から計算した額が非課税の線を超えればかかります。65歳以上・単身・1級地なら、年金だけでおよそ155万円以下が非課税の目安です。市区町村の級地や扶養の有無で線は変わります。
Q. 年金から引かれる介護保険料はいくらですか?
市区町村が所得の段階ごとに決めるので、全国一律の額はありません。毎年6月ごろに届く年金振込通知書か、市区町村からの決定通知書で確かめられます。
Q. 遺族年金や障害年金にも税金はかかりますか?
日本年金機構によると、障害年金と遺族年金には所得税がかからず、源泉徴収票も送られません。老齢年金と同じ扱いではないため、上の計算には含めません。
Q. 年金の天引きをやめて自分で払うことはできますか?
介護保険料と住民税はやめられません。国保と後期高齢者医療の保険料は、市区町村に申し出ると口座振替に変えられる場合があります。
この記事の金額は、令和8年分の所得税と全国標準の住民税をもとにした概算です。保険料・住民税の非課税の線は自治体で異なるため、実際の額は年金振込通知書や市区町村の通知でご確認ください。
出典: 国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係、国税庁 高齢者と税(年金と税)、国税庁 令和8年度税制改正による基礎控除の引上げ等に関するFAQ、財務省 公的年金等控除制度の概要、日本年金機構 年金から介護保険料等を特別徴収されるのはどのような人ですか、日本年金機構 申告書を提出した場合の源泉徴収税額の計算、日本年金機構 令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項、日本年金機構 年金からの特別徴収をやめることはできませんか、日本年金機構 障害年金や遺族年金を受けている人にも源泉徴収票は送付されるのか