配偶者控除等申告書の書き方【2026年分】区分Ⅰ・区分Ⅱの判定と、配偶者の年収136万円・207万円の目安
年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除を受けるには、「配偶者控除等申告書」に、あなたと配偶者の1年間の所得の見積額を書いて会社に出します。2026年分(令和8年分)の用紙は、国税庁の様式では基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書・所得金額調整控除申告書の4つが1枚になった兼用様式で、配偶者の欄はそのうちの右上の部分です。
書き方は5つの手順に分かれます。①あなたの合計所得金額の見積額から「区分Ⅰ」(A・B・C)を決める、②配偶者の合計所得金額の見積額を出す、③それで「区分Ⅱ」(①〜④)を決める、④表の区分Ⅰと区分Ⅱが交わるところの金額を読む、⑤その金額を「配偶者控除の額」か「配偶者特別控除の額」の欄に書く、の順です。2026年分は税制改正で区分の境目が動き、配偶者の給与収入が136万円以下なら配偶者控除、136万円超207万円以下なら配偶者特別控除が目安になりました(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。
配偶者の欄を書くのはどんな人か
配偶者控除も配偶者特別控除も、控除を受けるあなた自身の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件です。国税庁の年末調整のしかたでは、所得が給与だけの人なら、給与の収入金額が1,195万円(所得金額調整控除を受ける人は1,210万円)を超えると合計所得金額が1,000万円を超えるとしています。そのうえで、配偶者の収入が次の範囲にあるときに配偶者の欄を書きます。
| 配偶者の収入(2026年分) | 配偶者の合計所得金額 | 受けられる控除 |
|---|---|---|
| 給与だけで136万円以下 | 62万円以下 | 配偶者控除 |
| 給与だけで136万円超207万円以下 | 62万円超133万円以下 | 配偶者特別控除 |
| 給与だけで207万円超 | 133万円超 | どちらも受けられない |
| 公的年金だけ(65歳以上)で172万円以下 | 62万円以下 | 配偶者控除 |
| 公的年金だけ(65歳以上)で172万円超243万円以下 | 62万円超133万円以下 | 配偶者特別控除 |
公的年金だけで65歳未満の配偶者は、年金の収入が122万円以下なら配偶者控除の対象です。どちらの控除も、配偶者がほかの人の扶養親族になっている場合や、青色事業専従者として給与を受けている場合などは対象になりません。また、共働きで2人とも所得が133万円以下でも、配偶者特別控除を夫婦がお互いに受けることはできず、受けられるのはどちらか一方です。控除額そのものの考え方は配偶者控除・配偶者特別控除はいくらまで(2026年分)で詳しく説明しています。
手順1 あなたの所得の見積額を出して、区分Ⅰを決める
最初に、用紙の左側の基礎控除申告書の欄で「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」を出します。給与だけの人は、1年間の給与の収入金額(賞与を含む見込み)から給与所得控除を引いた額が給与所得で、それがそのまま合計所得金額になります。年収600万円なら給与所得控除は164万円なので、給与所得は436万円です。
この見積額で、配偶者の欄の「区分Ⅰ」に書く記号が決まります。
| あなたの合計所得金額の見積額 | 給与だけの人の収入の目安 | 区分Ⅰ |
|---|---|---|
| 900万円以下 | 1,095万円以下 | A |
| 900万円超950万円以下 | 1,095万円超1,145万円以下 | B |
| 950万円超1,000万円以下 | 1,145万円超1,195万円以下 | C |
| 1,000万円超 | 1,195万円超 | 配偶者控除・配偶者特別控除は受けられない |
収入の目安は、所得金額調整控除がない場合の給与所得控除(収入850万円超は195万円)から逆算したものです。給与収入が850万円を超え、23歳未満の扶養親族や特別障害者がいて所得金額調整控除を受ける人は、その控除を引いたあとの金額で判定します。同じ見積額で基礎控除の額も決まり、2026年分は合計所得金額489万円以下なら104万円、489万円超655万円以下なら67万円、655万円超2,350万円以下なら62万円です。
手順2・3 配偶者の所得の見積額を出して、区分Ⅱを決める
次に「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」の欄に、配偶者の収入金額と所得金額を書きます。ここで間違えやすいのが、判定に使うのは「収入」ではなく「所得」だという点です。配偶者がパートやアルバイトの給与だけなら、2026年分は給与の収入金額がおおむね219万円までなら「収入−74万円」が給与所得になります(給与所得控除の最低額が74万円に上がったため)。
| 配偶者のパート収入(年) | 配偶者の給与所得(合計所得金額) | 区分Ⅱ |
|---|---|---|
| 100万円 | 26万円 | ②(70歳以上なら①) |
| 136万円 | 62万円 | ②(70歳以上なら①) |
| 150万円 | 76万円 | ③ |
| 169万円 | 95万円 | ③ |
| 180万円 | 106万円 | ④(105万円超110万円以下) |
| 207万円 | 133万円 | ④(130万円超133万円以下) |
区分Ⅱの意味は次のとおりです。①は配偶者の所得が62万円以下で、かつ年齢70歳以上(昭和32年1月1日以前に生まれた人)の老人控除対象配偶者。②は所得62万円以下で70歳未満。③は所得62万円超95万円以下。④は所得95万円超133万円以下で、④はさらにおおむね5万円刻みの8つの区分(95万円超100万円以下〜130万円超133万円以下)に分かれます。用紙の「判定」欄の当てはまる□にチェックを付け、①〜④を「区分Ⅱ」欄に書きます。
手順4・5 表から控除額を読んで書き写す
用紙の「控除額の計算」の表で、区分Ⅰ(A〜C)の行と区分Ⅱ(①〜④)の列が交わるところが控除額です。2026年分の表の金額は次のとおりです(国税庁の令和8年分の様式)。
| 区分Ⅱ(配偶者の合計所得金額) | A | B | C |
|---|---|---|---|
| ① 62万円以下・70歳以上 | 48万円 | 32万円 | 16万円 |
| ② 62万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| ③ 62万円超95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| ④ 95万円超100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
| ④ 100万円超105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
| ④ 105万円超110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
| ④ 110万円超115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
| ④ 115万円超120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
| ④ 120万円超125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
| ④ 125万円超130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
| ④ 130万円超133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
最後に、区分Ⅱが①か②なら「配偶者控除の額」欄に、③か④なら「配偶者特別控除の額」欄に、表で読んだ金額を書きます。2つの欄の両方に書くことはありません。
記入例:年収600万円の会社員、配偶者のパート年収150万円
あなたの年収が600万円(給与だけ)、配偶者のパートの年収が150万円の見込みとすると、記入は次のようになります。
| 欄 | 書く内容 |
|---|---|
| あなたの給与所得(収入金額・所得金額) | 6,000,000円・4,360,000円 |
| 区分Ⅰ | A(合計所得金額900万円以下) |
| 基礎控除の額 | 104万円(合計所得金額489万円以下) |
| 配偶者の給与所得(収入金額・所得金額) | 1,500,000円・760,000円 |
| 区分Ⅱ | ③(62万円超95万円以下) |
| 配偶者特別控除の額 | 38万円 |
この例のように区分ⅠがAで配偶者が70歳未満なら、配偶者のパート収入が136万円を超えていても、169万円以下なら配偶者控除と同じ38万円です。サイトの計算(40歳未満・協会けんぽ東京の料率)では、この例の所得税の税率は10%で、38万円の控除で2026年分の所得税は約3万8,800円少なくなり、その分が年末調整で戻る額に加わります。住民税も、2027年6月から天引きされる分(令和9年度分)が軽くなります。年収ごとの戻る額は年収600万円の年末調整の還付額のような年収別のページで確かめられます。
見積額がずれたとき・よくある間違い
配偶者控除等申告書に書くのは、年末調整の時点での「本年中の見積額」です。12月の勤務が増えて配偶者の収入が見込みより多くなった、などで区分が変わったときは、会社が源泉徴収票を渡す翌年1月末日までなら、会社に申し出て年末調整をやり直してもらえることがあります(年末調整をしなかった・漏れたとき)。それを過ぎたら確定申告で直します。
- 収入と所得の取り違え:「62万円以下」「133万円以下」は所得の金額です。パートの収入をそのまま判定に使うと、区分を1つ以上ずらして書いてしまいます。
- 交通費:配偶者の通勤手当のうち非課税の部分は、給与の収入金額に入れません。
- 70歳以上の判定:老人控除対象配偶者(区分Ⅱの①)になるのは、2026年分では昭和32年1月1日以前に生まれた人です。
- 扶養控除等申告書との違い:配偶者は扶養控除等申告書には「控除対象扶養親族」として書きません。年末調整で配偶者の控除を受けるのは、この配偶者控除等申告書です。扶養控除等申告書の配偶者の欄は、毎月の源泉徴収のためのもの(源泉控除対象配偶者)です。
社会保険の扶養(年収130万円未満が目安)や、勤め先で社会保険に入る基準は、この申告書とは別の決まりです。税金と社会保険の両方の境目は2026年の年収の壁のまとめと年収の壁シミュレーターで確かめられます。ほかの申告書の書き方は年末調整で何を出すかにまとめています。
よくある質問
Q. 配偶者のパート収入が103万円を超えたら、配偶者控除はなくなる?
2026年分は、配偶者の給与収入が136万円以下なら配偶者控除の対象です。あなたの合計所得金額が900万円以下(区分ⅠがA)で配偶者が70歳未満なら、136万円を超えても169万円以下なら配偶者特別控除が38万円で、控除額は同じです(区分B・Cや70歳以上の配偶者では金額が変わります。上の表を見てください)。
Q. 配偶者の所得が62万円以下なのに、配偶者特別控除の欄に書いてもいい?
書けません。国税庁の説明では、配偶者の合計所得金額が62万円以下のときは配偶者特別控除の適用は受けられず、配偶者控除のほうを受けます。
Q. あなたの年収が1,195万円を超えるときは、配偶者の欄を書かなくていい?
給与だけで1,195万円(所得金額調整控除がある人は1,210万円)を超えると合計所得金額が1,000万円を超え、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられません。左側の基礎控除申告書の欄は、合計所得金額2,500万円以下なら書いて出します。
この記事は、国税庁が公表している令和8年分の年末調整の資料(2026年11月時点)をもとにした一般的な説明です。配偶者に給与・年金以外の所得がある場合や、年の途中で結婚・離婚・死別があった場合は判定が変わることがあります。具体的な記入は勤務先の担当者にご確認ください。
出典: 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた 2-2 基礎控除申告書、配偶者控除等申告書…の受理と内容の確認、国税庁 令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書、国税庁 [手続名]給与所得者の基礎控除申告書…の提出、国税庁 令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について、国税庁 No.1191 配偶者控除、国税庁 No.1195 配偶者特別控除