年末調整を受けなかった人や、書類の出し忘れで控除が漏れた人は、翌年に自分で確定申告をすれば、納めすぎた所得税を取り戻せます。2026年分は基礎控除の引き上げ分が毎月の天引きに入っていないため、多くの会社員は天引きが1年分の税額を上回ります。その場合の申告は税金を返してもらう「還付申告」で、2027年1月1日から5年間(2031年12月31日まで)、確定申告の期間に関係なく出せます。給与が2,000万円を超える人や、副業などの所得が20万円を超える人のように確定申告が必要な人は、2027年2月16日(火)〜3月15日(月)が申告の期間です。

確定申告の前に、勤務先でやり直してもらえないかを確かめる方法もあります。扶養の人数の変更や、年末調整のあとに払った保険料などは、会社が源泉徴収票を渡す翌年1月末日まで年末調整をやり直せることになっています。サイトの計算機では、東京都の協会けんぽに入る40歳未満・独身・賞与なし・月給30万円の人の2026年分は、年末調整か確定申告で31,680円が戻る計算です。

年末調整を受けられない・漏れる主なケース

年末調整は、勤務先に扶養控除等(異動)申告書を出している人について、その年最後の給与のときに行うのが原則です。次のような人は年末調整の対象から外れるか、受けても控除が足りないため、自分で精算することになります。

ケース年末調整どうするか
年の途中で退職し、年内に再就職しなかった受けられない(死亡退職、12月の給与を受け取った後の退職、年内の給与が136万円以下で、ほかの給与の見込みがないパートなどの退職は会社で行う)翌年に還付申告
勤務先に扶養控除等申告書を出していない・副業先として給与をもらっている(乙欄)対象外確定申告で精算
その年の給与が2,000万円を超える対象外確定申告が必要
年の途中で転職し、前職の源泉徴収票を出していない前職分を確かめられるまで会社は見合わせる源泉徴収票を出して会社に頼むか、確定申告
年末調整は受けたが、生命保険料控除や扶養を書き漏らした受けたが控除が足りない翌年1月末までなら会社でやり直せる場合がある。過ぎたら確定申告
医療費控除・ふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)もともと年末調整では受けられない確定申告

年の途中で退職した人は、同じ年のうちに再就職すれば新しい勤務先が前職分も合わせて年末調整をします。再就職しなかった人は、毎月の天引きが1年分の税額より多いまま年を越すことがあり、国税庁のタックスアンサー(No.1910)も翌年の還付申告を案内しています。医療費控除とふるさと納税の申告は、医療費控除の確定申告のやり方とふるさと納税の確定申告の書き方で解説しています。

確定申告が必要な人と、還付申告でよい人

年末調整を受けなかったこと自体は、確定申告が必要になる条件ではありません。国税庁(No.1900)が会社員でも確定申告をしなければならないとしているのは、主に次の人です(申告すれば税金が戻る人は除かれています)。

  • 給与の年間の収入金額が2,000万円を超える人
  • 給与を1か所から受けていて、給与・退職金以外の所得(副業・不動産など)の合計が20万円を超える人
  • 給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与の収入と、給与・退職金以外の所得の合計が20万円を超える人
  • 同族会社の役員で、その会社から貸付金の利子や資産の賃貸料を受け取っている人など

これに当てはまらない人の申告は、納めすぎた税金を返してもらうための還付申告です。出すかどうかは本人しだいですが、出さなければ納めすぎた分は戻りません。2026年分の日付は次のとおりです。

申告の種類2026年分の期間
還付申告(申告義務のない人)2027年1月1日(金)から5年間(2031年12月31日まで)。税務署の窓口は1月4日(月)から
確定申告(申告が必要な人)2027年2月16日(火)〜3月15日(月)
納める税金がある場合の納付2027年3月15日(月)まで(振替納税なら4月23日(金)に引き落とし)

なお、毎月の天引きが0円だった人(源泉徴収票の源泉徴収税額が0円の人)は、申告しても戻る所得税はありません。副業の20万円の線の考え方は副業20万円以下なら申告不要?、2か所で働く場合はアルバイト掛け持ちの税金で説明しています。

会社に年末調整をやり直してもらえるのは翌年1月末まで

年末調整がすでに終わっていても、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」では、次の変更は源泉徴収票を渡すことになる翌年1月末日まで、会社が年末調整をやり直せるとされています。2026年分なら2027年1月末が区切りです。

  • 扶養親族の人数が変わった(年末までに子が結婚した、本人が障害者に当たることになったなど)
  • 配偶者や本人、19〜22歳の子(特定親族)の所得の見込みと、確定した所得に差が出た
  • 年末調整のあとに、その年の生命保険料や地震保険料などを支払った
  • 住宅借入金等特別控除申告書をあとから出した

出し忘れに気づいたら、まず勤務先の給与担当に、どの書類をいつまでに出せばよいかを聞くのが近道です。会社の給与計算には締めがあるので、1月末ぎりぎりでは間に合わないこともあります。1月末を過ぎた場合や会社でのやり直しが難しい場合は、確定申告で控除を足します。扶養が減って税金が足りなくなるやり直しは、1月末を過ぎても会社が行うことになっています(国税庁 No.2671)。書類ごとの書き方は年末調整で何を提出する?にまとめています。

確定申告のやり方と必要書類

会社員の還付申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で画面の案内に沿って金額を入れていけば作れます。流れは、(1) 源泉徴収票と控除の証明書をそろえる、(2) 作成コーナーで給与の金額・天引きされた税額・控除を入力する、(3) e-Taxで送信するか、印刷して税務署に提出・郵送する、の3段階です。

用意するもの要る人提出のしかた
給与所得の源泉徴収票全員(2か所以上ならすべて)添付は不要。金額の入力に使う
生命保険料・地震保険料の控除証明書その控除を受ける人書面は添付。e-Taxは内容を入力すれば提出を省略できる
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書自分で国民年金保険料を払った人同上(年末調整で控除済みなら不要)
医療費控除の明細書医療費控除を受ける人申告書と一緒に出す
マイナンバーカード(またはマイナンバーと本人確認書類)全員書面で出す場合は本人確認書類の提示か写しの添付
還付金を受け取る口座還付申告をする人申告書に記入する

源泉徴収票は、1年勤めた人なら翌年1月31日までに、年の途中で退職した人なら退職の日から1か月以内に、会社から渡されることになっています。手元にない場合は勤務先に再発行を頼みます。e-Taxで送る場合は、マイナンバーカードと、カードを読み取れるスマートフォン(パソコンならICカードリーダライタ)、マイナポータルアプリを使います。e-Taxで入力して提出を省略した控除証明書は、税務署から求められることがあるため、法定申告期限から5年間は手元に残しておきます。

還付金が振り込まれるまでの期間について、国税庁は、2〜3月の確定申告の期間中はおおむね1か月から1か月半、e-Taxで出した還付申告は3週間程度で処理しているとしています(訂正の申告や書類の不備がある場合などは除く)。還付申告は2月16日を待たずに出せるので、書類がそろったら1月中に出すこともできます。

2026年分はいくら戻る?計算例

2026年分は、引き上げられた基礎控除(合計所得489万円以下なら104万円)と給与所得控除の最低額74万円が毎月の天引きに入っておらず、年末調整で精算されるしくみです。年末調整を受けなかった人は、その差がそのまま確定申告での還付になります。サイトの計算機で、40歳未満・独身・賞与なし・東京都の協会けんぽ加入の条件で計算すると次のとおりです。

条件天引きされた所得税1年分の税額確定申告で戻る額
月給30万円で1年勤めたが、年末調整を受けなかった76,080円44,400円31,680円
同じ人が生命保険料控除4万円も申告する76,080円42,400円33,680円
月給30万円で6月末に退職し、年内は再就職しなかった38,040円0円38,040円

6月末で退職した例では、6か月分の給与180万円から給与所得控除74万円を引いた所得106万円に対し、社会保険料26万4,420円と基礎控除104万円を差し引くと課税される所得が残らないため、天引きされた38,040円が全額戻ります。退職後に自分で払った国民年金保険料や国民健康保険料も社会保険料控除として差し引けます(書き方は国民健康保険料は年末調整で控除できる?)。退職した年の住民税や保険の手続きは退職した年の税金・保険料でやりがちな失敗5つ、年収ごとの戻る額の目安は年末調整の還付金シミュレーションや年収360万円の年末調整で確かめられます。

よくある質問

Q. 年末調整の書類を出し忘れました。まだ間に合いますか?
年末調整の前なら勤務先にすぐ出します。年末調整が終わっていても、扶養の人数の変更などは翌年1月末日まで会社がやり直せます。やり直しの対象になるかは勤務先に確かめ、1月末を過ぎた場合や対象にならない場合は、確定申告で控除を足せば、2026年分は2027年1月1日から5年間、還付を受けられます。

Q. 還付申告は2月16日より前に出せますか?
出せます。還付申告は確定申告の期間とは関係なく、2026年分なら2027年1月1日から受け付けられます。e-Taxで出した還付申告は、書類の不備などがなければ3週間程度で処理されるとされています。税務署の窓口は1月4日(月)から開き、e-Taxと郵送はそれより前でも出せます。

Q. 年末調整を受けなかった人は全員、確定申告をしなければいけませんか?
全員ではありません。給与が2,000万円を超える、給与以外の所得が20万円を超えるなど国税庁の条件に当てはまる人は2027年3月15日までに申告が必要ですが、それ以外の人は任意の還付申告です。ただし、申告しなければ納めすぎた税金は戻りません。

日付は2026年分(令和8年分)の確定申告についてのものです。申告の要否や控除の扱いは個別の事情で変わるため、詳しくは勤務先の担当部署または税務署にご確認ください。

出典: 国税庁 No.2030 還付申告、国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人、国税庁 No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき、国税庁 No.2020 確定申告、国税庁 主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日、国税庁 令和8年分 年末調整のしかた、国税庁 令和8年分 年末調整のしかた(年末調整の再調整)、国税庁 No.2671 年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき、国税庁 No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等、国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A【申告書の提出】、国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A【税金の還付】、国税庁 No.1904 給与所得者と電子申告、国税庁 No.1130 社会保険料控除、国税庁 e-Taxの利用方法